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Jリーグ・国内

最多得点&最少失点でJ2を制した柏レイソル――完成されたチームに仕上がった転機とは?

サッカーダイジェスト編集部

2019.12.02

J2優勝、J1昇格を喜ぶ柏レイソルの選手とサポーターたち。写真:田中研治

J2優勝、J1昇格を喜ぶ柏レイソルの選手とサポーターたち。写真:田中研治

「守備も攻撃も良いからチャンピオンになれる」

 シャーレを掲げた鎌田次郎の言葉どおり、最多得点、最少失点という数字で柏がJ2の頂点に立った。しかし、その道のりは決して平坦ではなく、「勝っているけど……」という不穏な声も一時期漏れた。そこからいかにして、攻守に完成されたチームに仕上がったのか。ターニングポイントになったのは――。

    ◆     ◆     ◆

 クリスティアーノの2ゴールで逆転勝利した山口との開幕戦を皮切りに、その後は3試合連続で1 -0と接戦をモノにして開幕4連勝。5年ぶりに誕生した“ネルシーニョ・レイソル”の滑り出しは順調だった。得点こそ思うように奪えなかったものの、ネルシーニョ監督のチームらしく、堅守を武器に勝点を積み重ねた。

 しかし、5節の岡山戦で初黒星を喫すると、続く6節の東京V戦も落として早くも連敗。7節の長崎戦を3-0で圧勝するが、8節から4試合連続ドローを含む5戦勝ちなしと、約1か月も白星から見放される。高い安定感を誇った守備とは対照的に、攻撃の構築には時間を要し、勝ち切れないゲームが続いた。さらに、その後の4試合は2勝2分と復調の兆しが見えたものの、17節の愛媛戦で1 -3と完敗。順位はJ1参入プレーオフ圏外の7位にまで下がり、なかなか成績が安定しなかった。
 
 当時、失点数はリーグ2位タイの少なさを誇った一方で、ゴール数はリーグワースト2位タイと深刻な得点力不足に陥っていた。低調だった期間はルヴァンカップで採用していた3バックをリーグ戦でも導入したが、チームの重心が低く攻撃も単調。5バック気味に守るシーンが増えると、オフェンスに人数をかけることが難しくなり、オルンガやクリスティアーノをターゲットにロングボールを蹴る形が多く、パターンに工夫が見られなかった。

 そんななか、今季を振り返るうえで欠かせないターニングポイントとなったのが18節の福岡戦だ。引き分けたとはいえ、ラストワンプレーで江坂任が同点弾を決めたこの試合以降、内容が大きく変貌。慣れ親しんだ4バックにシステムを戻し、攻守で選手の距離感が改善され、選手たちも好感触を得ていた。そして、次節から11連勝、無敗記録も13戦に伸ばし、怒涛の勢いで勝点を重ねて首位に浮上。ネルシーニョ監督の第一次政権を知る数少ないひとりでチームのムードメーカーでもある桐畑和繁は、この時期が大きかったと語る。
 

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