歴史的な敗北を喫した指揮官の言葉が、失態を物語っている。

　現地９月９日、ドイツのヴォルフスブルクで行なわれた国際親善試合で、日本代表はドイツ代表に４-１で完勝した。敗れたドイツ代表は、これで６月のポーランド代表とコロンビア代表戦に続く黒星となり、国際Aマッチ３連敗。５試合連続未勝利と深刻な不振に陥っている。

　過去ワールドカップ（W杯）を４度制覇したサッカー大国は、サムライ・ブルーの前にプライドをズタズタに斬り裂かれた。

　11分、DF菅原由勢のクロスからMF伊東純也が流し込んで日本が先制。ドイツは18分、素早いパスワークで中央を突破し、最後はMFレロイ・サネが同点ゴール。だが４分後、日本は右サイドから菅原がパスを入れ、伊東のシュートはミートしなかったものの、流れたボールを上田綺世が咄嗟に左足で合わせ、ボールはネットに吸い込まれた。

　前半を２-１で折り返した日本は３バックに布陣を変え、押し込まれる時間帯があったものの、終盤には途中出場の久保建英が相手DFからボールを奪取。最後はFW浅野拓磨が久保からのラストパスを流し込んで追加点。さらに終了間際には、右サイドの久保のクロスから田中碧が頭で合わせてダメ押しの４ゴール目を叩き込んだ。

　去年のカタールＷ杯以来の再戦となった試合は、日本代表のゴールショーという誰も予想できない結末となった。グループリーグで屈辱の逆転負け（1-2）を喫した相手に、またも失態を演じたドイツ代表には至極当然、スタジアムから容赦ない大ブーイングが浴びせられた。
  　試合後、移籍市場に精通しているイタリア人ジャーナリストのファブリツィオ・ロマーノ氏によると、ドイツ代表のハンジ・フリック監督は記者会見で自身の代表監督の座が危機に瀕しているか？という質問について「自分がドイツ代表監督にふさわしいと思っている」と断言。この敗北で代表監督の座を退く気は毛頭ないことを強調した。

　しかし、「サッカーはダイナミックなものだということも分かっている。まだ何が起こるか予見できない。私とスタッフは、完璧な形でチームを準備するためにベストを尽くしている」と話し、突然の解任にも理解を示しているようだ。

　同監督は続けて、「たとえ皆さんが理解するのが難しくても、我々はしっかりと準備をしている。それについては何も説明することはありません。これからも、そうしていきます。私たちは自分たちのやっていることに自信を持っています。だから私にとっては、このような状況が続いているんです」と付け加え、12日のフランス代表戦に視線を向けていた。

　記者会見でのフリック監督の続投発言に対し、地元メディア『Sport1』のリポーターを務めるケリー・ハウ氏は「ハンジ・フリックは、まだ自分が代表監督に適任だと思っているのか？」と呆れ、その手腕に疑問を投げかけている。

　サッカー大国としての威厳を大きく失いかねない惨敗に、ドイツ国内から悲嘆の声はまだ止みそうにない。

構成●THE DIGEST編集部

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