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海外サッカー

いま思えば50億円はバーゲン価格!バルサで育ち、クロアチアでブレイクしたスペインの異端児

長束恭行

2019.12.21

11月15日のマルタ戦(EURO2020予選)ではスペイン代表にもデビューしたダニ・オルモ。20年1月、あるいは夏の移籍マーケットでステップアップの移籍を実現する可能性が高そうだ。 (C)Getty Images

11月15日のマルタ戦(EURO2020予選)ではスペイン代表にもデビューしたダニ・オルモ。20年1月、あるいは夏の移籍マーケットでステップアップの移籍を実現する可能性が高そうだ。 (C)Getty Images

「ダニ・オルモがジョアン・フェリックス(アトレティコ・マドリー)以上のレベルにあることを、我々は知っている。今日もその才能を目撃した」

 チャンピオンズ・リーグ3節のシャフタール・ドネツク戦(2-2)後、ディナモ・ザグレブのビエリツァ監督は、教え子を手放しで絶賛した。

 バルセロナの下部組織で頭角を現わした逸材は、韓国代表のイ・スンウを評価して自身を控えに回した当時の育成方針に疑問を抱き、16歳で退団。その決断に理解を示す声は少なかったものの、同じく育成に定評のある新天地のディナモで才能を開花させた。

 入団直後にウイングからトップ下にコンバートされて、プレーの幅を広げただけではない。クロアチア語を学び、同世代のタレントと切磋琢磨しながら、クロアチア特有のチームスピリットも培った。
 
 プレースピードが速く、コントロールが乱れないスラロームドリブルはそう簡単には止まらない。それでいて独善的では決してなく、コンビネーションをつねに意識し、守備も怠らない模範的なプレーヤーだ。

 昨シーズンはリーグ最優秀選手に輝き、チーム最年少のフィールドプレーヤーとして臨んだ6月のU-21欧州選手権ではスペインの優勝に貢献。ゴールを決めたファイナルではマン・オブ・ザ・マッチに選ばれた。
 
 ディナモが今夏、この逸材につけた値札は4000万ユーロ(約50億円)。獲得に乗り出していた西欧の多くの名門クラブは、「クロアチア・リーグの選手なのに高すぎる」と手を引いた。

 その“高すぎる逸材”は今シーズン、初挑戦のチャンピオンズ・リーグでも活躍。惜しくもグループステージ突破は実現できなかったとはいえ、6節マンチェスター・シティ戦で決めたスーパーボレーは、ワールドクラスの才能を証明する極上の一撃だった。

 J・フェリックスの移籍金の3分の1にも満たなかった夏の値札は、いま思えばバーゲン価格と言えるだろう。

Dani OLMO
ダニ・オルモ(MF/ディナモ・ザグレブ)
■生年月日:1998年5月7日(21歳)
■身長・体重:179㎝・72kg
■国籍または代表:スペイン代表

●文/長束恭行
※『ワールドサッカーダイジェスト』2019年11月21日号より加筆・修正
 
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