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海外サッカー

戦禍に見舞われながら、活動を続けるイスラエルのクラブや代表チームの現状に迫る「すべてのスポーツを、それを愛する人を、そして日常を壊してしまう」

THE DIGEST編集部

2023.11.20

マッカビ・テルアビブを率いるロビー・キーン監督。(C)Getty Images

マッカビ・テルアビブを率いるロビー・キーン監督。(C)Getty Images

 10月7日にイスラエルとハマスの紛争が始まって以来、イスラエルのチームが初めて公式戦を行なった。11月9日に行なわれたヨーロッパリーグのグループステージ(GS)4節で、マッカビ・ハイファ(イスラエル)がビジャレアル(スペイン)と、そしてヨーロッパカンファレンスリーグのGS4節では、マッカビ・テルアビブ(イスラエル)がゾーリャ・ルハンスク(ウクライナ)と戦った(10月25日、26日に予定されていたGS3節の試合は延期された)。

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 GS4節でマッカビ・ハイファはホームで戦うはずだったが、連日のようにミサイルが飛んでくる国内での試合は不可能のため、会場をキプロスに移して無観客試合で行なった。結果は1ー2でビジャレアルに敗れている。

 一方のマッカビ・テルアビブはアウェーでの試合だったものの、やはり中立地のポーランドで行なっている。なぜなら対戦相手のゾーリャ・ルハンスクはウクライナ東部でロシアとの国境に近いドンバス地方のチーム。やはり戦争によってホームでプレーできる状態ではないのだ。

 そのゾーリャ・ルハンスクは、親ロシア派分離主義者による爆撃とその後の占拠のため、2014年以来ホームスタジアムでプレーをしていない(現在は本拠地を一時的に移し、試合はキーウのスタジアムでプレーすることが多い)。つまりこの一戦は、戦争に巻き込まれたチーム同士という、近年稀に見る悲しい試合となってしまった(3ー1でマッカビ・テルアビブが勝利)。
 
 この試合では、マッカビ・テルアビブの選手たちは戦争の犠牲者に敬意を表して全員が黒い喪章を着けてプレーした。ゾーリャ・ルハンスクの選手たちは試合前、UEFAが掲げた「平和」の横断幕の前で、それぞれがウクライナの国旗をまとって整列した。

 マッカビ・テルアビブは6月から元アイルランド代表のスター選手、ロビー・キーンが率いているが、紛争が始まって以降、選手とスタッフの全員が揃ったのは試合の4日前だったという。外国人の一部が紛争開始時に国外退去を命じられていたからだ。

 ちなみに現時点で、延期となっているGS3節のゾーリャ・ルハンスク対マッカビ・テルアビブの一戦は11月25日に予定されているが、試合会場が決まっていない。もちろんイスラエル国内では開催不可能であり、ドイツかハンガリーで行なうプランが挙がっているという。
 
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