緑の名門の昇格は、意外なところでも注目されている。

　12月２日、J１昇格プレーオフ決勝が東京・国立競技場で開催され、年間３位の東京ヴェルディと同４位の清水エスパルスが対戦した。

　試合は清水が先制し、このまま逃げ切って昇格かと思われたが、後半アディショナルタイムに東京VがPKを奪取。土壇場で同点ゴールを決めて１-１のドローに持ち込み、年間順位のアドバンテージで古豪が16年ぶりにJ１復帰を決めた。

　Jリーグ加盟時の「オリジナル10」対決には古参ファンも注目し、国立競技場には５万3264人の大観衆が集まった。ドラマティックな展開にスタジアムは大いに沸いたが、アジアメディアもこの一戦には関心を寄せていた。
  　東京Vのインドネシア代表アルハンの母国メディア『Football5star』は「東京ヴェルディとアルハンのJ１リーグへの旅が始まる」と題した特集記事を配信。母国のスターとともに、16年ぶりにJ１の舞台に帰還する緑の名門を祝っている。

　同メディアは、すでにJ２からFC町田ゼルビアとジュビロ磐田が来季のJ１昇格を決めていることを紹介したうえで、「ヴェルディを含めた４チームは、トップリーグへの最後の切符を懸けて戦わなければならなかった」と説明。リーグナンバー１の堅守を誇る東京Vと随一の得点力を誇る清水という、J2屈指の矛盾対決に熱い視線を注いでいた。

　終了間際のPKの場面については、「強烈なプレッシャーのなかで得たこのPKを22歳のストライカーが決め、東京Ｖが1-1の同点に追い付いた」と記し、執念のドリブル突破から値千金のPKを獲得し、自らゴールネットに蹴り込んだFW染野唯月のメンタルを称えた。

　さらに、「ヴェルディが昇格するのは2008年以来のことだ。彼らがまだ『ヴェルディ川崎』というチーム名だった1993年と94年には、Jリーグの年間王者に輝いたチームである」と指摘。長い低迷を経て、トップリーグにようやく返り咲いた苦闘の歴史を振り返っている。

　Jリーグ黎明期は三浦知良、ラモス瑠偉、柱谷哲二、北澤豪など日本代表メンバーを揃え、強烈な個性で一時代を築いたヴェルディ。かつての古豪は、来シーズンJ１の舞台でどんな戦いを見せてくれるのだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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