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Jリーグ・国内

<2019ベストヒット!>オシムが送る日本へのメッセージ「足りないのは絶対的な自信、真っ当なジャーナリズム、そしてベテランの有効活用だ」

サッカーダイジェスト編集部

2019.12.30

オシム氏は2003年からジェフ千葉の監督を務め、2006年7月からは日本代表監督として指揮を執った。(C)J.LEAGUE PHOTOS

オシム氏は2003年からジェフ千葉の監督を務め、2006年7月からは日本代表監督として指揮を執った。(C)J.LEAGUE PHOTOS

 2019年の名珍場面を『THE DIGEST』のヒット記事で振り返るこの企画。今回紹介するのは、日本サッカーにひとつの転機をもたらした名伯楽のインタビューだ。ピッチ内外に渡ってサッカーの本質を捉えるイビチャ・オシムの言葉に、今一度耳を傾けよう。
記事初掲載:2019年11月8日

    ◆    ◆    ◆

 かつてジェフ千葉や日本代表を率いたイビチャ・オシム。78歳となった今でもフットボールへの愛情は変わらず、いや、むしろ深くなっており、ウィットに富んだ言葉も健在だ。渾身のメッセージから伝わってくるのは、日本サッカーへの尊敬の念と今後への期待感だ。

   ■    ■    ■

 少し前から私は、オーストリアのグラーツにあるセカンドハウスに滞在している。毎年恒例の健康診断を受けるためだ。心臓に持病があるうえ、膝の調子も良くないので、外出は極力控えている。たまに近くを散歩する程度で、ほとんど家にいないといけない。

 今、唯一の楽しみが自宅でのサッカー観戦だ。テレビで放映する試合は片っ端から見ている状態。先ほどはレンジャーズとセルティックの一戦をチェックしていた。こちらでも時折、Jリーグの試合を放送してくれる。そんな時は決まって、かじりつくように見ている。
 Jリーグ全試合の内容を把握しているわけではないので、正確な分析はできないかもしれない。ただ、私が日本にいた頃に比べると、“オーガナイズ”がとても上手くなった、いや、完璧に近くなった。(J1リーグの)どのクラブもスタジアムや芝がすごく整備されていて、その点で日本はもう世界レベルだろう。

 世界のサッカーが日々進化するなか、日本もその潮流に乗り、ピッチでは秩序を保ちつつスピーディかつテクニカルなサッカーが展開されている。なにより感心させられたのは、ボールをあまり止めることなく、可能なかぎり素早くパスを回している点だった。

 私の知っている日本人はとても賢く、学習能力が極めて高い。近くに良いお手本がいれば彼らはいろんなものを吸収できるだけに、ある時からワールドクラスの外国人選手がJリーグからいなくなったのは残念だった。しかし少し前から、アンドレス・イニエスタ、ダビド・ビジャ、フェルナンド・トーレス(8月23日の鳥栖対神戸戦を最後に現役引退したが)のようなトッププレーヤーがJリーグでプレーするようになってきた。これはとても喜ばしいことだ。

 世界的なトッププレーヤーの存在は日本サッカーを発展させるうえで重要。なぜなら、難しいと思われる局面をいとも簡単に打開していく彼らをチームメイトとして、あるいは対戦相手としてピッチで触れ合うだけでも得られるものは大きいからだ。

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