オランダ代表監督のロナルド・クーマンが、"またしても"バルセロナに対して批判を展開している。その内容は、フレンキー・デ・ヨングの怪我の対処法についてだ。
「同じ個所の怪我に見舞われる中で、何よりも考えなければならないのは、選手の健康のはずだ。にもかかわらず、彼が所属するあのクラブ(バルサのこと)はリスクを冒した。その結果、我々が代償を払わされるハメになった」
足首の負傷によって、オランダ代表の中盤の要であるデ・ヨングのEURO欠場が決まり、クーマン監督は古巣バルサに対して苦言を述べた。ただスペイン紙『AS』によると、バルサはかつての指揮官の発言に対し、驚きを超えて困惑しているという。なぜなら、その指摘をしたのがバルサの監督時代にまさにレモンを絞り切るように選手たちを酷使した人物だからだ。
代表的な選手として、同紙はペドリの名前を挙げている。「クーマンが指揮した2020‐2021シーズン、ペドリはクラブと代表を合わせて70試合以上に出場。その後、彼が怪我を繰り返しているのは周知の通りだ」。一般的に"ペドリを酷使した指揮官"のレッテルを貼られているのは、3年前にEUROでフル稼働したペドリを東京五輪に連れて行く決断を下したルイス・デ・ラ・フエンテ(現スペイン代表監督)だが、クーマンも休みを挟むことはせずに、先発で起用し続けていた。
この件では記者や識者の中にも、バルサを擁護する声は存在する。デ・ヨングは昨シーズン、3度右足首を痛めたが、クーマンの批判の対象になっているのは、3度目の怪我に繋がったクラシコ(レアル・マドリー戦)で起用した判断だ。しかしスペイン紙『ムンド・デポルティボ』のコラボレーター、シャビエル・ボッシュ氏は、「この怪我はルーズボールの奪い合いの結果起こった不慮のアクシデントであり、バルサは完治したタイミングで起用した」と強調する。
そもそも論として、代表監督にそこまで主張する権利があるのだろうかと疑問を呈するのが、スペイン紙『スポルト』でコラムを連載するスポーツ経済の専門家、マルク・メンチェン氏だ。「クーマンはギリギリまで待った末での決断だったことを認めているが、仮に出場に踏み切って症状を悪化させていたら、逆に被害を受けるのは選手と契約するために莫大な資金を投じているクラブ側だ」と述べている。
また冒頭で"またしても"と表現したように、クーマンがバルサの現首脳陣に対し、批判を展開したのは今回が初めてではない。これまでも幾度となく、たとえば補強戦略などについても苦言を呈している。ラポルタ政権に冷遇された末に、ラージョ・バジェカーノ戦からの帰りの飛行機の中で解任を告げられたことがいまだに尾を引いているのは間違いないだろう。
現地では2026年6月に任期が切れるジョアン・ラポルタ会長の、再選に向けた野望がたびたび記事になっている。現在強烈な逆風が吹き荒れているとはいえ、現職が有利なのは事実であり、残り2年の間にチームの立て直しを図り、経営を改善させ、新カンプ・ノウのプレオープンを実現させれば、よほど強力な対抗馬が現われない限り、打倒ラポルタを果たすのは難しいだろうというのが現地の見解だ。
そしてクーマンは、その絶対支配者に啖呵を切り続けている。今回の批判も、EUROをデ・ヨング抜きで戦うことを余儀なくされた悔しさもあっただろうが、根っこにあるのは現政権への不満だろう。それは冒頭の発言で、バルサの名前すら口にしない態度からも見て取れる。
文●下村正幸
【動画】オランダがポーランドに逆転勝利!EURO初戦のハイライトをチェック!
「同じ個所の怪我に見舞われる中で、何よりも考えなければならないのは、選手の健康のはずだ。にもかかわらず、彼が所属するあのクラブ(バルサのこと)はリスクを冒した。その結果、我々が代償を払わされるハメになった」
足首の負傷によって、オランダ代表の中盤の要であるデ・ヨングのEURO欠場が決まり、クーマン監督は古巣バルサに対して苦言を述べた。ただスペイン紙『AS』によると、バルサはかつての指揮官の発言に対し、驚きを超えて困惑しているという。なぜなら、その指摘をしたのがバルサの監督時代にまさにレモンを絞り切るように選手たちを酷使した人物だからだ。
代表的な選手として、同紙はペドリの名前を挙げている。「クーマンが指揮した2020‐2021シーズン、ペドリはクラブと代表を合わせて70試合以上に出場。その後、彼が怪我を繰り返しているのは周知の通りだ」。一般的に"ペドリを酷使した指揮官"のレッテルを貼られているのは、3年前にEUROでフル稼働したペドリを東京五輪に連れて行く決断を下したルイス・デ・ラ・フエンテ(現スペイン代表監督)だが、クーマンも休みを挟むことはせずに、先発で起用し続けていた。
この件では記者や識者の中にも、バルサを擁護する声は存在する。デ・ヨングは昨シーズン、3度右足首を痛めたが、クーマンの批判の対象になっているのは、3度目の怪我に繋がったクラシコ(レアル・マドリー戦)で起用した判断だ。しかしスペイン紙『ムンド・デポルティボ』のコラボレーター、シャビエル・ボッシュ氏は、「この怪我はルーズボールの奪い合いの結果起こった不慮のアクシデントであり、バルサは完治したタイミングで起用した」と強調する。
そもそも論として、代表監督にそこまで主張する権利があるのだろうかと疑問を呈するのが、スペイン紙『スポルト』でコラムを連載するスポーツ経済の専門家、マルク・メンチェン氏だ。「クーマンはギリギリまで待った末での決断だったことを認めているが、仮に出場に踏み切って症状を悪化させていたら、逆に被害を受けるのは選手と契約するために莫大な資金を投じているクラブ側だ」と述べている。
また冒頭で"またしても"と表現したように、クーマンがバルサの現首脳陣に対し、批判を展開したのは今回が初めてではない。これまでも幾度となく、たとえば補強戦略などについても苦言を呈している。ラポルタ政権に冷遇された末に、ラージョ・バジェカーノ戦からの帰りの飛行機の中で解任を告げられたことがいまだに尾を引いているのは間違いないだろう。
現地では2026年6月に任期が切れるジョアン・ラポルタ会長の、再選に向けた野望がたびたび記事になっている。現在強烈な逆風が吹き荒れているとはいえ、現職が有利なのは事実であり、残り2年の間にチームの立て直しを図り、経営を改善させ、新カンプ・ノウのプレオープンを実現させれば、よほど強力な対抗馬が現われない限り、打倒ラポルタを果たすのは難しいだろうというのが現地の見解だ。
そしてクーマンは、その絶対支配者に啖呵を切り続けている。今回の批判も、EUROをデ・ヨング抜きで戦うことを余儀なくされた悔しさもあっただろうが、根っこにあるのは現政権への不満だろう。それは冒頭の発言で、バルサの名前すら口にしない態度からも見て取れる。
文●下村正幸
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