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海外サッカー

決勝進出を“難なく決めた”スペイン代表、中盤の大黒柱ロドリの「攻守のバランサーの枠に収まらないマルチな働き」が“らしくない安定感”の理由

下村正幸

2024.07.10

中盤の大黒柱としてスペインの快進撃を支えるロドリ。(C)Getty Images

中盤の大黒柱としてスペインの快進撃を支えるロドリ。(C)Getty Images

 若手が躍動するチームには、必ずと言っていいほど頼りになるリーダーの存在がある。現在のスペイン代表で、ピッチ内外を問わず、経験の浅い選手たちが伸び伸びとプレーできる雰囲気作りを心掛けながら、時に手綱を締める役割を果たしているのがロドリだ。

 ロドリは2019年夏の加入以来、マンチェスター・シティの中盤の要として君臨している。しかし代表では、長くセルヒオ・ブスケッツが大きな壁として立ちはだかっていた。2年前のカタール・ワールドカップも、定位置はそのブスケッツの背後のCB。したがって意外にも、ロドリが中盤のリーダーとして代表のメジャー大会に挑むのは、今回のEUROが初めてだった。

 攻守にわたり大きな存在感を放っているロドリだが、なかでも際立つのは、スペインのリスキーな「アタッキング・フットボール」を後方からサポートし、チーム全体の重心を押し上げる役割だろう。鋭い読みと豊富な運動量を活かし、即時奪回のためのプレッシングをリード。そしてボールを奪うと、左右や縦への展開で攻撃のリズムを作り、相手の守備ブロックを後退させ、自らもゴール前に顔を出す。ラウンド・オブ16のジョージア戦では、その形から見事に同点ゴールを叩き込んでみせた。
 
 中盤の狭いゾーンを自分の庭のようにプレーした前任者ブスケッツに対し、ロドリはより広い範囲を駆け回り、そのすべての動きにダイナミズムがある。このロドリの「攻守のバランサー」という枠に収まらないマルチな働きを、戦術通のアルベルト・ブラジャ氏はスペインメディア『Relevo』で次のように分析している。

「アンカーとインサイドハーフを同時にこなしながら、時にはメディアプンタとしても振る舞い、ポジションの高さやエリアに関係なく、局面局面で常に自分流の文字を刻印しながら、プレーに関わっていく。だからセンターサークル付近と同様に、敵陣の深いところまで支配することができるのだ」

 一方、サッカーを専門としたビッグデータの分析を行なう『Driblab』のアレハンドロ・アロージョ氏は、ロドリを次のように評価する。

「彼はプレーの判断基準そのものだ。年々プレーの幅を広げ、そのほとんどを誰よりもうまくこなし、オリジナリティーがあって決定的でもある。選手間の距離を縮め、チーム全体の重心を20メートルほど押し上げ、組織力を向上させ、ボール支配率とその質を高める。そのうえで持ち前の対人守備スキルとポジショニングを武器に、相手を窒息させる。今大会のスペインから、これまでのチームにはなかった“らしくない安定感”を感じるのは、彼の存在によるところが大きい」
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