海外サッカー

「チームに欠けていたものを与えた」マジョルカ浅野拓磨に復調の兆し! 現地メディアも「攻撃の選択肢が増え、戦術の幅が広がった」と分析

下村正幸

2025.02.27

調子が上向きの浅野。マジョルカでの初ゴールが待ち遠しい。(C)Getty Images

 昨年12月上旬に怪我から復帰し、2か月余りが経過した浅野拓磨に巻き返しのチャンスが訪れている。ラ・リーガで今年初の先発出場となった第24節ラス・パルマス戦で持ち前の縦への推進力を発揮し、チームの2025年初勝利(3-1)に貢献。マジョルカにとっては、前回、浅野が先発で出場した第18節のヘタフェ戦以来の白星(1-0)だった。

【動画】久保建英が股抜きカットインから鮮やかなゴール!
 スペイン紙『マルカ』は、「ヴェダト・ムリチ、ダニ・ロドリゲス、セルジ・ダルデルが称賛の対象となり、相手の勢いを食い止めたGKドミニク・グレイフの好セーブもクローズアップされているが、その良い流れに乗ってアサノが持ち味を発揮し、復調ぶりを示した」と評価。さらに「アサノはロベルト・ナバーロとともに短剣のようにサイドを切り裂き、ムリチが競ったこぼれ球に素早く反応して相手DFを混乱させた。ドレッシングルームで"タク"と呼ばれるアサノが調子を取り戻したことで、チームの攻撃の選択肢が増え、戦術の幅が広がった」と分析する。

 ハコバ・アラサテ監督は、長くサイドの人選に悩まされてきた。浅野の戦線離脱中、指揮官が信頼を置く純粋なウイングはロベルト・ナバーロのみで、セルジ・ダルデルやダニ・ロドリゲスといったトップ下や中盤が本職の選手をサイドに配することで補っていた。大手ラジオ局『カデナ・セール』は、「ラス・パルマス戦で2025年の初スタメンを飾ったアサノは素晴らしいパフォーマンスを見せ、彼が怪我で離脱中のマジョルカに欠けていたものを与えた。それはサイドに奥行きをもたらし、DFラインの裏へ抜け出し、相手選手を独力でかわすプレーだ。得点を挙げることこそできなかったものの、チームのベストプレーヤーの1人だった。アサノが相手DFの死角を突き、背後を取ることでムリチはポストプレーに専念することができた」とそのパフォーマンスを解説する。
 
 ラス・パルマス戦後、アラサテ監督は浅野について、「常に相手チームにとって脅威となっている。ラインブレイクを狙い、攻撃に奥行き、深みを作り出す。これが我々が見たいアサノだ」と述べている。

 近年、マジョルカはピンポイントで選手層の薄いポジションを補強し、戦力拡充を図ってきた。久保建英(現レアル・ソシエダ)が所属していた頃は、1部残留が関の山だったが、欧州カップ戦を狙える集団にまで進化したのはその賜物だ(25節終了現在、6位のラージョ・バジェカーノと同勝点の8位)。

 マジョルカが浅野に何を求めて獲得したかは、指揮官の言葉が全てを物語っている。怪我で一旦回り道を余儀なくされたが、指揮官の信頼も巻き返しの時間もまだ十分にある。

文●下村正幸

【動画】三笘薫が衝撃のプレー「後ろ向きのボールめっちゃトラップするもん」

【動画】カウンターから抜け出した三笘薫が鮮やかなループ弾!