2025年に入って無敗の快進撃を続けているバルセロナ。ペドリはその先頭に立ってチームを牽引している。とりわけスペイン紙『スポルト』の元編集長、エルネスト・フォルチ氏が「彼のキャリアの中でも大きなターニングポイントになるかもしれない」と驚嘆するパフォーマンスを見せたのが、チャンピオンズリーグ（CL）ラウンド16のベンフィカ戦（バルサが１－０で勝利）だ。その働きぶりをフリージャーナリストのアドリアン・ブランコ氏は、「ペドリはまたしても素晴らしいパフォーマンスを披露した。１人少ない状態でプレーするバルサが劣勢を強いられないように、縦横無尽にピッチを動き回りながら、パスワークの中心としてボールを捌き、チームメイトに時間的な余裕を与え、相手を引きつけ、局面を打開する方法を探し続けた」と評価する。
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　現在のバルサの中盤には優秀な人材が揃っている。アンカーにはフレンキー・デヨングと怪我で離脱中のマルク・カサドとマルク・ベルナルがいて、そしてトップ下ではダニ・オルモ、ガビ、フェルミン・ロペス、パブロ・トーレによって熾烈な定位置争いが繰り広げられている。そんな中、唯一不動のレギュラーとして君臨しているのが、その中間的なポジションに位置するペドリだ。

　昨シーズンまで悩まされた怪我もなくコンディションを維持していることに加え、クラブOBのフランシスコ・ホセ・カラスコ氏曰く、「試合の局面に応じて最も効果的なプレーを素早く選択し、実行するフリーマン」としての役割を全うしているからに他ならない。戦術アナリストのアルベル・ブラジャ氏はその働きぶりを「フリックはペドリをピッチ上で浮遊しながら案内人のように一つひとつのプレーに同行し、攻撃にリズムと方向性を与えるMFに仕立て上げた。深い位置でボールを捌いてゲームをコントロールし、ファイナルサードにおいて絶大な影響力を発揮している」と分析する。
  　その一例が、足首の怪我から復活を遂げたデヨングとの連携で、前出のブランコ氏は、２人の関係性を「ペドリがビルドアップ時にDFライン付近までボールを引き出して攻撃の起点となり、デヨングはその受け手となってドリブルで攻め上がるといった具合に高次元の補完性を構築している」と評する。

　現在22歳とまだまだ伸び盛りの年齢だが、ペドリのプレーからはその若さに似合わない落ち着きや成熟が感じられる。前出のブラジャ氏は、「ペドリはただ単に美しさを体現するだけではない。彼が関与するだけで一見取るに足らないプレーが超越的なものに変わる。それこそが私が彼を世界最高のMFと評価する所以だ。広範囲に動き回り、相手を驚かせ、ゴールチャンスを創造する。これらすべてのプレーにおいて、今シーズン、ペドリほどのソリッドさで実行している選手は他にいない」と解説する。

　デビュー当初からシャビやアンドレス・イニエスタと比較されてきたが、ボージャン・クルキッチの実父にあたり、自身も長きにわたってクラブのスカウトを務めたボージャン・クルキッチ・シニア氏は、「シャビやイニエスタのような美点を持ち合わせてはいるが、そのいずれでもない。ペドリはペドリだ」と、すでに独自のキャラクターを確立したと明言する。また、フリージャーナリストのアルベル・モレン氏はペドリを次のように表現した。

「彼は魔術師であり、建築家でもある」

文●下村正幸

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