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日本代表

「やっぱり勝ってないし、弱いじゃないですか」ボルシアMG板倉滉、今季好調も低迷した2年間にみせていた“精神的な強さ”

中野吉之伴

2025.04.20

今季好調のボルシアMGを守備で支える板倉。欧州カップ戦出場権を手にできるか。(C) Getty Images

今季好調のボルシアMGを守備で支える板倉。欧州カップ戦出場権を手にできるか。(C) Getty Images

 日本代表CB板倉滉がドイツでプレーをして4シーズン目になる。2部シャルケで昇格の立役者として活躍したのが21-22シーズン。翌シーズンにはボルシアMGへ完全移籍を果たし、すぐにレギュラーポジションを獲得することになる。リーグ優勝5回、カップ優勝3度を誇る古豪は15-16、20-21シーズンにはチャンピオンズリーグに出場するなど、ブンデスリーガで強豪の一つに数えられていたが、その後低迷。板倉の1年目は10位、2年目は14位と理想と現実のはざまに苦しみ、なかなか課題が改善されないもどかしい時期を長く過ごすことになった。

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 どんな試合のあとでも板倉はメディア対応を丁寧にしてくれる。うまくいかないことにはうまくいっていないとはっきり言うし、可能性を感じることにはポジティブな解釈をいつも持つ。そんな板倉のコメントでとても印象に残っているものがある。

 あれは23-24シーズンの27節フライブルクとの試合後だった。ホームゲームながら、終始相手に主導権を握られての0-3の完敗。それでも苛立たしさを表に出さず努めて冷静に話をしていた板倉が、「僕らにはポテンシャルがあるけど、それをなかなかうまく発揮できていない。年に1、2回爆発的なプレーができるけど」というコメントをした後に、日本人報道陣からこんな質問を受けた。

「もっと下位のチームだと『うちにはポテンシャルがないから、その分頑張らなきゃいけない』という選手が多いし、そういう戦い方を選ぶけど、 ここの場合はポテンシャルがないわけじゃないから難しい?」

 すると板倉は間髪入れずにはっきりと「だから、その(ポテンシャルがあるという)考え方はもうやめた方がいいですよね。やっぱり勝ってないし、弱いじゃないですか」と言い切ったのだ。

「うまいプレーとか、うまい崩しとかもちろんやりたいけど、今はもうそこじゃない。とにかく1勝だし、とにかく戦うところ。まずは守備のところだと思う。そこができてないと、きついかなって」

 ポテンシャルがあるというのを隠れ蓑にしてはいけない、本質的なプレーをおざなりにしてはいけない、という確かなメッセージ。自分やチームに対しての戒めのつもりで言ったのかもしれないし、これからに向けての覚悟としても口にしたのかもしれない。いずれにしてもこうしたコメントを怖がることなく、明確に口にできるところに、板倉滉という選手の力強さがあるのだ。
 
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