選手同士が激しくぶつかり合う競技であるサッカーにおいて、怪我の回避という意味で「レガース（すね当て）」は必要な用具だが、その重要性は以前とは変わってきているようだ。
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　激しい衝突や足の裏を見せての危険なタックルなどによる打撲や骨折の危険を下げるだけでなく、出血による病気（特に1980年代に不治の病として流行していたエイズ）の感染を防ぐ意味で、1990年にFIFA（国際サッカー連盟）によってレガースの装着は義務化されて現在に至る。

　とりわけ相手DFのターゲットとなりやすい攻撃選手には不可欠なアイテムであり、おそらくはサッカー史上で最もファウルを受けた選手のひとりであるディエゴ・マラドーナの場合、すねだけでなく、ふくらはぎや踵、アキレス腱もガードしたことで、ただでさえ逞しい足が、さらに太く見えたものである。
  　1986年メキシコ・ワールドカップでブラジルの10番ジーコが使用したレガースは驚くほど大きかった（太く、長さも足首から膝下いっぱいまであった）が、現在ではプレー中の選手のすねを見ると、果たしてソックスの下にそれが装着されているのか疑いたくなるほど小さいものとなっている。

　チャンピオンズリーグ決勝でもパリ・サンジェルマンのフビチャ・クバラツヘリアやインテルのフェデリコ・ディ・マルコらに見られたように、近年、選手のレガースは大幅に小型化しているが、フランスのスポーツ紙『L’EQUIPE』は、「これは単なるファッションではなく、まず何より快適さを求めた結果である。そしてプロレベルでは、プレースタイルや審判の判定の進化によって、リスクが軽減されたことにも起因する」と指摘する。

　かつてフランチェスコ・トッティ、ルイ・コスタ、ファン・セバスティアン・ヴェロンといった名選手たちがソックスを低めに履くと、レガースが半分顔を見せていたものだが、現在は前述の２選手だけでなく、フロリアン・ヴィルツ、ジャック・グリーリッシュ、ペドリ、トレント・アレクサンダー＝アーノルド、パウロ・ディバラのすねにレガースを見つけることはできない。