世界から集った32のクラブが世界一を競う「FIFAクラブワールドカップ」が現地時間6月14日、インテル・マイアミ(アメリカ)対アル・アハリ(エジプト)の一戦で幕を開けた。
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欧州と南米の王者がホーム&アウェーで対戦したインターコンチネンタル・カップに始まり、その後は東京での一発勝負(トヨタカップ)となった世界一クラブ決定戦は、2000年代に入ると各大陸王者がこの争いに加わるようになり、さらなる拡大路線を歩むFIFA(国際サッカー連盟)によって、ついに1か月をかけて行なわれる大イベントへと変貌を遂げた。
この大会に対しては、とりわけ欧州からは批判的な意見が多く寄せられており、一時はチームの派遣を拒否する構えを見せるクラブもあったほどである。もっとも、彼らの姿勢は昔から変わらず、1980年に始まったトヨタカップでも欧州勢、とりわけイングランドのクラブは日本遠征に難色を示したものだが、それでも参加を受け入れたのは、ジャパンマネーが可能とした多額の報酬が理由だったといわれる。
現在は、莫大な収入を得るようになった欧州勢を惹きつけるのは簡単ではないと思われるが、FIFAが彼らの関心を高めるために用意したのは、やはり「金」だった。それも、出場するだけで1281万~3819万ドル(約18億~55億円)、優勝すれば最大で1億2500万ドル(約180億円)という、過去に前例がない天文学的な額の賞金である。
ブラジルの総合メディア『Globo』は、「経済的理由から、ここ数十年で欧州はサッカー界の中心地となった。したがって、欧州のクラブが本気で臨むことが、この大会の成功の鍵を握るとも言える。もしチャンピオンズリーグ(CL)のような真剣さを欠き、プレシーズン的なテンションで臨むようなら、大会は盛り上がらない可能性もある」と指摘したが、賞金という「人参」は一定の効果があるとの見解を示している。
同メディアによれば、彼らが取材した欧州主要国の全てのジャーナリストが、「金銭的動機が主である」と回答したという。レアル・マドリー、パリ・サンジェルマン、マンチェスター・シティ、チェルシーといった超富裕クラブでさえも、今回の賞金には強い関心を示している。
ただ、その中でマドリーは「名誉」も重要視している。地元スポーツ紙『as』のカルロス・フォルハネス氏による「マドリーのフロレンティーノ・ペレス会長は、同クラブの伝説的な会長であるサンティアゴ・ベルナベウの足跡を辿ることを非常に重視しており、ベルナベウの時代にチャンピオンズカップの初代王者となったように、ペレス会長も新たなコンペティションの王者として歴史に名を刻みたいと思っている。マドリーは21世紀でもFIFAから最強クラブとして認められたいと願っている」との見解を紹介している。
加えて、今季のマドリーはノンタイトルに終わったことで新シーズンでの巻き返しを誓っており、カルロ・アンチェロッティの後を受けたシャビ・アロンソの下で強力なチームを構築する必要がある。そして、クラブW杯はその準備機会として最適なものであるという見方も示している。「シャビ・アロンソの初陣であり、新チームの第一歩となるだけに、この大会でのマドリーには大きな期待がかけられている」(『as』紙のフェルナンド・タベロ氏)。
対して、念願のCL初制覇を果たしたばかりのパリSGには、マドリーほどの熱意は見られないという。ただ、日刊紙『Le Parisien』のマルク・メシュヌア氏によれば、「全てのコンペティションで優勝したいという野心がモチベーションになっている。それは、欧州のクラブに与えられる高額賞金が目当て」である。
気になるプレミアリーグ勢の「本気度」だが、英国公共放送『BBC』のシャムーン・ハフェズ氏は「彼らはFIFAの目論見を警戒しているものの、チーム強化は本格的に進めている。なかでもマンCはこの大会に向けてすでに1億ポンド(約195億円)以上を補強に費やしており、優勝候補の一角と言われている」と語っている。
ちなみに、欧州メディアの関心についても『Globo』は触れ、前出のメシュヌア記者によれば、フランスでは『Le Parisien』紙からの米国への記者派遣はひとり、『L’EQUIPE』紙のような大手スポーツ紙でも2人、放送局『RMC』もひとりとのことで、経費の問題に加えて、国内での関心の低さがこのような状況を生み出しているという。
そしてファンの関心ということでは、『as』紙のフォルハネス氏が語った「大会に対する関心は高くないが、シャビ・アロンソの初陣という点では注目している。これまでのクラブW杯と変わりなくなく、マドリーが優勝しても大騒ぎはしない。しかし、負ければ叩かれる」というのが、欧州クラブ共通の見方かもしれない。
構成●THE DIGEST編集部
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欧州と南米の王者がホーム&アウェーで対戦したインターコンチネンタル・カップに始まり、その後は東京での一発勝負(トヨタカップ)となった世界一クラブ決定戦は、2000年代に入ると各大陸王者がこの争いに加わるようになり、さらなる拡大路線を歩むFIFA(国際サッカー連盟)によって、ついに1か月をかけて行なわれる大イベントへと変貌を遂げた。
この大会に対しては、とりわけ欧州からは批判的な意見が多く寄せられており、一時はチームの派遣を拒否する構えを見せるクラブもあったほどである。もっとも、彼らの姿勢は昔から変わらず、1980年に始まったトヨタカップでも欧州勢、とりわけイングランドのクラブは日本遠征に難色を示したものだが、それでも参加を受け入れたのは、ジャパンマネーが可能とした多額の報酬が理由だったといわれる。
現在は、莫大な収入を得るようになった欧州勢を惹きつけるのは簡単ではないと思われるが、FIFAが彼らの関心を高めるために用意したのは、やはり「金」だった。それも、出場するだけで1281万~3819万ドル(約18億~55億円)、優勝すれば最大で1億2500万ドル(約180億円)という、過去に前例がない天文学的な額の賞金である。
ブラジルの総合メディア『Globo』は、「経済的理由から、ここ数十年で欧州はサッカー界の中心地となった。したがって、欧州のクラブが本気で臨むことが、この大会の成功の鍵を握るとも言える。もしチャンピオンズリーグ(CL)のような真剣さを欠き、プレシーズン的なテンションで臨むようなら、大会は盛り上がらない可能性もある」と指摘したが、賞金という「人参」は一定の効果があるとの見解を示している。
同メディアによれば、彼らが取材した欧州主要国の全てのジャーナリストが、「金銭的動機が主である」と回答したという。レアル・マドリー、パリ・サンジェルマン、マンチェスター・シティ、チェルシーといった超富裕クラブでさえも、今回の賞金には強い関心を示している。
ただ、その中でマドリーは「名誉」も重要視している。地元スポーツ紙『as』のカルロス・フォルハネス氏による「マドリーのフロレンティーノ・ペレス会長は、同クラブの伝説的な会長であるサンティアゴ・ベルナベウの足跡を辿ることを非常に重視しており、ベルナベウの時代にチャンピオンズカップの初代王者となったように、ペレス会長も新たなコンペティションの王者として歴史に名を刻みたいと思っている。マドリーは21世紀でもFIFAから最強クラブとして認められたいと願っている」との見解を紹介している。
加えて、今季のマドリーはノンタイトルに終わったことで新シーズンでの巻き返しを誓っており、カルロ・アンチェロッティの後を受けたシャビ・アロンソの下で強力なチームを構築する必要がある。そして、クラブW杯はその準備機会として最適なものであるという見方も示している。「シャビ・アロンソの初陣であり、新チームの第一歩となるだけに、この大会でのマドリーには大きな期待がかけられている」(『as』紙のフェルナンド・タベロ氏)。
対して、念願のCL初制覇を果たしたばかりのパリSGには、マドリーほどの熱意は見られないという。ただ、日刊紙『Le Parisien』のマルク・メシュヌア氏によれば、「全てのコンペティションで優勝したいという野心がモチベーションになっている。それは、欧州のクラブに与えられる高額賞金が目当て」である。
気になるプレミアリーグ勢の「本気度」だが、英国公共放送『BBC』のシャムーン・ハフェズ氏は「彼らはFIFAの目論見を警戒しているものの、チーム強化は本格的に進めている。なかでもマンCはこの大会に向けてすでに1億ポンド(約195億円)以上を補強に費やしており、優勝候補の一角と言われている」と語っている。
ちなみに、欧州メディアの関心についても『Globo』は触れ、前出のメシュヌア記者によれば、フランスでは『Le Parisien』紙からの米国への記者派遣はひとり、『L’EQUIPE』紙のような大手スポーツ紙でも2人、放送局『RMC』もひとりとのことで、経費の問題に加えて、国内での関心の低さがこのような状況を生み出しているという。
そしてファンの関心ということでは、『as』紙のフォルハネス氏が語った「大会に対する関心は高くないが、シャビ・アロンソの初陣という点では注目している。これまでのクラブW杯と変わりなくなく、マドリーが優勝しても大騒ぎはしない。しかし、負ければ叩かれる」というのが、欧州クラブ共通の見方かもしれない。
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