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疲労、過密日程、暑さが原因!? クラブW杯で劣勢の欧州勢にブラジル側は「ただの言い訳」と一刀両断! 大会軽視の姿勢についても「傲慢さ」を指摘

THE DIGEST編集部

2025.06.25

今大会はブラジル勢の健闘が目立つ。(C)Getty Images

 アメリカで開催されているFIFA(国際サッカー連盟)による新たなビッグイベント「クラブワールドカップ」は現在、グループステージが佳境を迎えているが、ここまでは最大勢力である欧州クラブがしばしば他大陸のクラブに苦戦を強いられているのが印象的である。

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 第2節では欧州王者のパリ・サンジェルマンがボタフォゴに0-1の敗北を喫して世界を驚かせ、チェルシーもフラメンゴの軍門に降った(1-3)。最終節では初日にグループAでポルト、グループBではアトレティコ・マドリーという、チャンピオンズリーグの常連クラブがいずれも3位に沈み、早々にアメリカを後にすることを余儀なくされた。

 英国の日刊紙『The Guardian』は、かつて「世界一決定戦」では"サッカー王国"ブラジルのクラブがしばしば強さを発揮していたものの、クラブの財政事情でタレントを若いうちから欧州に安値で売却せざるをえなくなったこと、また欧州でテレビ放映権や国家資本によってクラブが莫大な資本を得たという「財政ドーピング」によって大陸間の格差が拡大したことを紹介したうえで、「しかしクラブW杯では話が違う。ピッチ上で全てが決まる」と、ブラジル勢の「下剋上」にスポットライトを当てた。

 この記事では、現役時代はアトレティコやチェルシーなど欧州のクラブで長く活躍し、今回はフラメンゴを率いるフィリペ・ルイス監督が「ブラジルのクラブは、今回の大会でバランスを取り戻した。欧州のエリートとはまだ実力差があるものの、それ以外とは対等以上に渡り合える。適応力、理解力、戦術眼、どれをとっても、ブラジル勢は欧州の2番手グループとは肩を並べている。エリートも強いのは確かだが、それでもピッチ上では何が起きてもおかしくない」との見解を示している。
 
 一方、ブラジルの人気評論家であるマウロ・セーザル氏は、「欧州と南米の最大の違いは資金だ。チェルシーだけで15億ユーロ(約2500億円)。これは、ブラジルの複数クラブの総支出額に匹敵する。欧州は金があるから、優秀な選手や監督が集まる。戦術も、技術も、フィジカルも、発達して当然だ。しかし、チェルシーを力でねじ伏せたフラメンゴのように、南米にも、良い選手と近代的な考えの若い監督がいれば、結果は出せる。そしてそれが今、ここ(米国)で起きている」と指摘した。

 そして同メディアは、「まだグループステージが進行している段階のクラブW杯。それはFIFAの"金儲け"に過ぎないのか、あるいは欧州勢にとっての『リゾート大会』なのか……。しかし少なくとも、ブラジルにとっては誇りを取り戻し、『欧州の方が全て優れている』という幻想に、一石を投じるものとなった」と綴っている。

 ただ、同時に同メディアは、欧州クラブ側の大会に対する「姿勢」にも注目。まず、フルミネンセ監督のレナト・ガウショが語った「欧州勢がシーズンが終わったばかりで疲れているなんて話は、ただの言い訳だ。ブラジル勢が負ければ『やっぱり欧州には敵わない』と言い、勝てば『向こうは休暇前だから』って? そんな理屈はサッカーには通用しない!」との不満を紹介。彼は、欧州クラブだけがハンデを背負っているという見方に異論を唱えた。
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「『大会の価値がない』で片付けるのは、ただの傲慢だ」と主張