オビエドが24年ぶりにラ・リーガに戻ってきた。この長い年月の間、クラブは幾度も経営危機に直面し、そのたびにファンの支えによって命をつないできた。そして、そんな苦難の歴史に終止符を打つ決定的な一手となったのが、2023年夏のサンティ・カソルラの復帰だった。
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　カソルラは2020年、ビジャレアルを退団して親友シャビが指揮を執るカタールのアル・サッドへ移籍。当時、多くの人がそのまま現役を終えるだろうと予想していた。しかし、オビエドからの熱心なオファーに心を動かされ、現役続行と古巣復帰を決意する。

　その契約内容は、スペイン２部リーグの最低賃金（年俸約９万1000ユーロ＝日本円で約1500万円）に加え、肖像権の100％をクラブに譲渡し、さらにユニホームの売上の10％を育成部門への投資に充てるという、カタールで受けていた厚遇に比べれば、“ボランティア”に近い内容だった。
  　カソルラはそのオビエドのカンテラーノ（下部組織出身者）だ。早くから頭角を現わし、当然トップチーム昇格を目指していたが、しかし肝心のクラブが長い低迷期に入ってしまう。2001年に２部に降格すると、資金繰りが悪化。カンテラの逸材も手放さざるを得なくなり、その際、カソルラが新天地に選んだのが、当時、急速に成長していたビジャレアルだった。2003年のことだ。

　その後、2006年に移籍したレクレアティボでブレイクすると、１年でビジャレアルへ買い戻される。さらに、大型補強を進めるマラガを経てアーセナルへと渡り、キャリアを着実にステップアップさせたカソルラは、スペイン代表選手としても2008年と2012年の２度のEURO制覇を経験。2010年の南アフリカW杯も、椎間板ヘルニアで欠場を余儀なくされなければ、優勝メンバーの１人になっていたはずだった。

　一方のオビエドは１シーズンにカテゴリーを２つ落としたり（成績下位と財務上の問題で）、２度４部に降格するなど、瀕死の状態にあった。当時の市議会は、復活は無理と判断し、本家のエンブレムを模倣して新クラブを設立したほどだった。