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「ファン・ダイクの身体は…」プレミアリーグに顧客を抱える個人トレーナー・木谷将志が語るトップアスリートの「骨格、筋肉、ポテンシャル」【直撃インタビュー後編】 

松澤浩三

2020.02.20

吉田麻也の個人トレーナーを務める木谷氏。 (C)Kozo MATSUZAWA

 お届けするのは、サンプドリアに移籍した吉田麻也、さらには前所属のサウサンプトンの複数の選手と個人トレーナー契約を結んでいる木谷将志氏のインタビュー後編だ。足による独自の施術で信頼を掴み、かつてはファン・ダイクの依頼も受けていた"サムライ"に直撃した。

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WSD:サウサンプトンの選手たちとは、具体的にどんな契約を結んでいるのですか?

木谷氏:年契約ですね。1回いくらの契約は、来る時と来ない時で(収入に)ばらつきが出るので、リスクが大きい。家族もいるので僕としては安定した収入が必要ですし、「これだけはないと暮らせない」というのは正直あります。そこで僕側から提案させてもらいました。例えば試合前と試合後、だいたい月8回は必ず治療するというのはどうでしょう、と。それを受け入れてもらいました。

WSD:足による施術は、どういった経緯で身につけたのですか?

木谷氏:北川先生が足で治療していたんです。先生の施術を傍でずっと見て覚えました。先生はまだ50歳になっていないんですが、昔気質の人なので、直接教えていただいたのは修業した10年間でも片手で数えられる程度ですかね(苦笑)。僕が学生時代に怪我をしたときに、先生に治療していただいたことがありまして、それが本当に良かった。「この施術はすごいな、選手にも受けるな」と感じました。実際、施術していただいた後はすごく身体が動きましたし、あの経験がなかったら半信半疑だったと思います。
 
WSD:施術法としては、珍しいですよね?

木谷氏:僕らの世界では、足で踏むのは邪道、肘を使うことさえも邪道と思われていました。王道を進む先生がたは、手の神経が一番研ぎ澄まされているから「手で施術するのが本物」、「(手以外では繊細な)感覚が分からない」といった考え方です。だけど、手だけでは限界もありますし、北川先生はそもそもの発想が違っていました。「痛みを取ってあげるのがプロ」という人なんです。肘でも足でも、続けていれば感覚は研ぎ澄まされていくし、「治してなんぼや」と「結果を出せば患者さんが来てくれる」という精神が僕にも刷り込まれています。

WSD:足による施術が他よりも効果的なのはなぜですか?

木谷氏:感覚的な言い方になってしまいますが、〝奥まで入っていける〞のは一番のポイントです。あとは、手では出せないリズム。すごい深い圧を長時間リズムよく加えられる。これは、手ではできません。手による施術は(筋肉の)反応があまり良くなく、揉み返しも出やすい。その点、揉み返しがなく、反応も速いのが足の施術です。ここが大きな特長ですね。痛みを取ってあげると、こっちの選手たちは「ワォ、マジシャン!!」って言ってくれるんですよ(笑)。