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Jリーグ・国内

英国人記者が見たJリーグの現在地。「5~6年前は成長が止まっていたが…」「中村の存在そのものが財産だ」

サッカーダイジェスト編集部

2019.11.08

独特のテンポで好機を演出。戦術眼も備えた中村はラ・リーガでも活躍できたのでは?写真:滝川敏之

独特のテンポで好機を演出。戦術眼も備えた中村はラ・リーガでも活躍できたのでは?写真:滝川敏之

Q2 現地観戦してみて印象に残った試合は?

A2 なかでも面白かったのは、今年7月14日に川崎フロンターレがFC東京を3-0で下した試合。文字通りの上位対決で、リーグ優勝の行方を占う意味でも両クラブにとって極めて重要な一戦だった。

 印象的だったのは両チームが選択した戦術だ。守備的に構えるのではなく、互いが得意の布陣で挑んでいるように見えた。試合内容はとてもアグレッシブで、それが魅力的に映った。こうした大一番ではえてして片方の、もしくは両方のチームが慎重になってしまうが、このゲームに限ってはそんなことがなかった。勇敢に戦って敗れたFC東京にも拍手を送りたい。

Q3 気になっているクラブとプレーヤーは?

A3 お気に入りのクラブは川崎フロンターレ。中村憲剛がいるかぎり、このチームは強豪と呼ぶに相応しい力をキープし続けるのではないか。中村は言うまでもなくチームのコア(核)。彼のプレースタイルそのものが「川崎フロンターレ」と言えるだろう。

 もし中村が若い頃にヨーロッパのクラブに引き抜かれていたら、とても面白いニュースを私たちに提供してくれたのではないか。パスセンスと戦術眼に優れた彼のプレースタイルで判断するなら、プレミアリーグよりもラ・リーガで成功しただろう。スペインの地で躍動する姿を是非見たかった。もっとも、中村の海外移籍が実現していれば、それはJリーグにとって巨大な損失だったはず。逆に言えば、彼の存在そのものがJリーグの財産になっている。

 もうひとり印象に残っているのは、横浜F・マリノスの遠藤渓太だ。Jリーグをコンスタントに観ているわけではないが(英国では放送がない)、際立ったプレーを披露していた。創造性はもちろん、有能なアタッカーに不可欠な勤勉さも備えているようだった。彼が“ホームグロウン”である点も気に入っている。下部組織出身者のトップチームでの成功は、そのクラブに間違いなく大きなメリットをもたらすからだ。
 そんな遠藤に足りない要素は自信か。まだ21歳と若いから致し方ないのかもしれないが、ここから学び、いろんなものを吸収できれば、来年の東京五輪で観客をアッと驚かせるような選手になり得るポテンシャルを秘めている。

Q4 サポーターの応援はどう映っているか?

A4 私が初めてJリーグを取材した時、スタジアムにいるサポーターは静かな印象だった。ゴールが決まった時も、そこまでの歓声はなかったように記憶している。

 それが今は違う。サポーターは声を枯らしながらもチャントを叫び続けている。素晴らしいプレーには大声援を送り、つまらないミスにはブーイングを浴びせる姿から感じ取れるのは、彼らはフットボールの本質を学んだということだ。

 監督や選手がサポーターに感謝の意を示せば、それに応える形でサポーターは愛するクラブに勇気を与える。いわば、“ギブ・アンド・テイクの関係”ができており、それはJリーグの成熟を示すひとつの事象とも言えるはずだ。

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