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Jリーグ・国内

Uberから着想を得たマッチングサービス「Now Do」とは?本田圭佑との二人三脚によるIT活用の成長イノベーションに迫る

手嶋真彦

2019.11.07

本田圭佑がプロデュースする「ソルティーロ ファミリア サッカースクール」を2012年に立ち上げた鈴木良介。写真:手嶋真彦

本田圭佑がプロデュースする「ソルティーロ ファミリア サッカースクール」を2012年に立ち上げた鈴木良介。写真:手嶋真彦

 早期のローンチを目指しているのはIT活用のマッチングサービス。想定しているのは優秀なコーチがもっと目立って、より深くプレーヤーの成長にコミットできるイノベーションだ。本田圭佑と企業経営者の二人三脚による新たな、かつてない挑戦に迫る。

    ◆    ◆    ◆

 優秀な若いコーチがひとり、またひとりと辞めていく。可能性を秘めた楽しみなコーチも辞めていく。未来への不安に押しつぶされたかのように。「経済的に豊かな人生を歩んでいくイメージが、残念ながら描けない」と。

 サッカースクールのコーチという仕事が嫌になったわけではない。むしろ、逆だ。続けられるものなら、続けたい。それが実際は後ろ髪を引かれながら去って行く。その多くはスポーツとは無関係な新たな職場へと。よりよい待遇やワークライフバランスを求めてだ。

 本田圭佑がプロデュースする「ソルティーロ ファミリア サッカースクール」を2012年に立ち上げた鈴木良介は、16年頃から顕在化してきた若いコーチたちの事実上の〝廃業〞という問題のソリューションを模索しつづけてきた。優秀なコーチが正しく評価され、十分に稼げる独自の仕組みを作りたいと。

 当然この問題はソルティーロに限ったものではない。同様の悩みを日本中のサッカースクールが、もしかするとより深刻に抱えているだろう。本田が構想するビジネスを陰で支え、大きな熱意を持って手掛けてきた鈴木は、拭いがたい危惧を口にする。「スポーツ界を発展させていくには、経験値の高い、良い指導者がもっと増えていかないと。こうした人材の流出は大きな損失です」。

 
 有効なソリューションに繋がりうる着想を鈴木たちが得たのは、ライドシェアサービスのUber(ウーバー)からだ。ウーバーが実現しているサービスは「①クルマ」「②そのドライバー」と「③移動手段を便利に確保したいユーザー(乗客)」のマッチング。シェアリングエコノミーとも称されるサービスである。スマートフォンのアプリを使えば、流しのタクシーを拾うよりもはるかに容易に、多くの場合ははるかに早く、移動手段となるクルマを確保できる。

 構造がよく似ている。ほとんど同じじゃないか。鈴木がそんな話で本田と盛り上がったのは、すでにウーバーが普及していたアメリカのロサンゼルス滞在中。17年の夏だった。サッカーに置き換えるとこうなる。「①クルマ=グラウンドなどの施設」、「②ドライバー=コーチ」、そして「③乗客=プレーヤー」だ。

 ウーバーと同様にITを活用すれば、空いている施設、時間を持て余すコーチ、上達したいプレーヤーの三者をマッチングするサービスを展開し、マネタイズできるのではないか。「Now do」と命名したこの新たなサービスをいかに提供していくか――。鈴木たちの試行錯誤は今なお続く。すでに一足先に実現しているのは、別のマッチングサービスだ。19年4月、千葉県千葉市美浜区に開園したそのインターナショナル保育園には、鈴木たちの夢と希望が詰まっている。

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