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日本代表

シーズン終盤に差し掛かった今…クラブ&代理人はどう動く?選手エージェントが移籍市場の裏側を解説!

サッカーダイジェスト編集部

2019.11.09

鹿島が安定して上位に居続けられる要因は一貫性。監督が代わってもベースは変わらない。写真:滝川敏之

鹿島が安定して上位に居続けられる要因は一貫性。監督が代わってもベースは変わらない。写真:滝川敏之

 シーズン終盤に差し掛かった今、クラブや代理人は、来季に向けてどう動いているのか。国内外に精通する選手エージェントの田邊伸明氏に、移籍市場の裏側を解説してもらった。

テーマ1「クラブの動き」
来季に向けた方向性がだいたい決まる時期

 この1011月は海外へのスカウティングが増加する時期です。特にブラジルは全国選手権が開催中で絶好のタイミングです。昔は毎年、上半期に行なわれる州選手権も含めて2~3回に分けて行くのが通例でしたが、今はスカウティングシステムの発達により、この期間に集中するようになっています。

 一方で近年はヨーロッパのリーグを視察するクラブも増えています。リーグ開幕から2、3か月が経ち、選手それぞれの序列が判明する頃です。つまりウインターブレイクの放出候補が決まってくるということです。欧州クラブは一度不要だと判断した選手は、かなり格安でも手放しますから、そうした余剰人員が主なターゲットになってきます。

 また韓国、中国、さらに最近はタイなどの東南アジアなどへ積極的に出向くクラブも増えていますね。

 国内では既存選手との契約更新の話を進めています。「この選手は残す、この選手は残さない」という取捨選択をして、特に今年いっぱいで契約が切れる選手とは7月、8月頃から交渉を始めます。9月末から11月の初めには、だいたい来季に向けたクラブの方向性が決まります。
 
 ただし問題は監督の去就です。続投か否か、それがはっきりしているかで進捗状況は大きく違います。さらにメンバーの編成を監督に委ねるのか、強化部が主導で進めていくのかでも変わってきます。初めて日本で指揮する外国人監督を呼ぶ場合は、強化部が選手の編成を任されることがほとんどです。監督にはビデオを見せながら進める感じでしょう。

 新たな選手を獲得するにしても、監督が決まっていなければ簡単にはいきません。選手からすれば、自分がどこでどんな役割を担うかが掴めませんから。既存の選手からしても、契約を更新するうえで当然監督の人選はひとつのポイントになります。今年は出番がなく「このまま監督が変わらないなら出ていく」と考えていても、指揮官が代わるなら残留する可能性は低くない。契約延長の時に、そういった話をされて、実際に残る選手は少なくありません。

 なぜ鹿島が安定して上位に居続けられるのかというと、監督にかかわらずベースがずっと変わらないからです。監督人事に関係なくシステムは不変、戦術も一貫している。助っ人選手をどこで使うかも大体決まっている。だからこそ、ピンポイントで補強ができるわけです。今夏は安部裕葵(現バルセロナ)、鈴木優磨(現シント=トロイデン)、安西幸輝(現ポルティモネンセ)を海外に放出しましたけど、強化部はある程度予想をしていたはずですし、そのための準備もしていたでしょう。

 しかし、多くのクラブでは監督の去就が選手の動向を左右するので、監督との契約を、優先するか、選手との交渉と並行で進めます。夏頃からシーズン終盤にかけては、そういった様々な契約ごとを同時に進めていく必要があるわけです。

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