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日本代表

「組織力が武器」は過去の話?日本代表は守備の不安を個で埋め合わせていた

清水英斗

2020.10.11

 ミスマッチを連動で埋められない。そこで連動しなくても済むように、システムをマッチさせたのが後半だ。安西を下げて伊東純也を投入し、3-4-2-1に変更した。

 高い位置を取る相手SB2番のファイには、ウイングハーフに移った原口が初期配置でマッチアップ。また相手3枚のビルドアップに対しても、1トップ2シャドーが初期配置のまま、同数でかみ合う格好だ。

 これで守備は安定した。日本は組織的な守備の不安を、個で埋め合わせたことになる。「日本は組織力が武器」と言われるが、むしろウィークに感じられることも少なくない。「団結心が武器」と言われれば、そうかもしれないと納得するが、「組織力が武器」とは自信を持てない。それを改めて感じた試合ではある。

 とはいえ、このシステムチェンジと交代は、守備の手当てだけでなく、攻撃にも好変化をもたらした。
 
 日本の中央攻撃が通じていないのは、前半の早い段階でわかっていた。逆にサイド突破はチャンスあり。前半もサイドチェンジからスペースを突く場面を何度か作ったし、マンツーマンで下りてくる相手ウイングの10番ムミ・エンガマルも守備が緩いため、酒井宏樹が鋭く突破を成功させた。

 そして後半は酒井よりも高い位置を取るアタッカーの伊東が、ウイングハーフに入り、さらに右サイドが活性化。サイドから背後を何度も陥れ、クロスでチャンスを作った。日本の3バック変更は、攻守両面でよく効いていた。

 今回うまく後半に巻き返したのは良いことだが、一方で前半、相手の変化に対してプレスを調節できなかったのは課題だ。ビルドアップもノッキングが多く、特に後半の3-4-2-1は、3バックとダブルボランチの立ち位置が重なりがち。たとえば攻撃時はアンカー気味にポジションを変えるなど、調整が必要と感じた。また、前後半共に機能した右サイドに比べると、左サイドで突破力を欠くのは、中島不在の試合では共通して見られる。

 少なくない課題を、次のコートジボワール戦はどう克服するか。あるいはそんなことより、若手起用を増やして五輪重視の試合になるのかもしれない。戦術は気になるが、見たい選手もたくさんいる。

 今回は0-0だったが、やはり代表戦は面白かった。Jリーグに比べると戦術の雑さはあるが、個々のスピードやパワーは桁違い。迫力は確かに感じた。ただし、結果が「0-0」というだけで、おそらく一般層にはマイナスイメージだろう。次は壮絶に打ち合ってもらいたい。

文●清水英斗(サッカーライター)

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