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Jリーグ・国内

鹿島、FC東京、それとも…本命不在のJ1レースを制するポイントは? 柏がリードするJ2上位戦線もチェック

加部究

2019.10.17

28節に首位から陥落したFC東京。久保が移籍した後のペースダウンは名白だ。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

28節に首位から陥落したFC東京。久保が移籍した後のペースダウンは名白だ。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 もっとも今年は総じて過渡期を迎えたチームが多く、確かな足どりでタイトルに邁進しそうな本命も見当たらない。開幕前は死角なしに映った川崎は、19節で首位を走るFC東京を3 -0で叩き、3連覇への軌道に乗りかけた。

 ところが7月
31日の広島戦からは6戦未勝利と勝負どころでまさかの脱落。象徴的だったのが27節ホームに神戸を迎えたゲームで、ピッチ上で助っ人5人をフル活用する神戸に対し、川崎は純血のスタメンを選択。2 -1で勝利した神戸のトルステン・フィンク監督が「コンビネーションの成熟度では川崎が上だが、こちらにも決定力のある選手がいた」と振り返ったように、個々のキャリアに裏打ちされた自信の相違が明暗を分ける試合となった。

 3連覇が遠退いた川崎の鬼木達監督は「相手が研究し覚悟を持って臨んでくる」「受けに回り積極さを表現し切れない」「相手を見切れていないと崩し切れない」などと語っており、メンタル面にブレーキの主要因があると分析している様子。なによりリーグトップの
11分けが、ボールは持てていても勝ち切れない苦悩を如実に表わしている。そろそろ中村憲剛の役割を引き継ぐはずの大島僚太の長期離脱や、CBで奈良竜樹、ジェジエウが相次いで故障するなど誤算も重なり、ネガティブなやり繰りに追われることになってしまった。

 
 こうして混迷の度合いが深まると、必ず先頭集団で勝負強さを発揮するのが鹿島である。途切れない伝統を支えるのは、先を見越したチーム作りと丁寧な育成だ。2016年にクラブワールドカップ決勝を戦った15人中9人が、また翌17年のACL決勝2戦でプレーした14人のうち6人が、すでにチームを離れた。しかしそれでも何事もなかったかのように機能してしまうのは、計画的に補強選手を精選し、獲ったら信じて使う姿勢を貫くからで、要するに圧倒的に無駄遣いが少ない。欧州進出は止めないが、留まる選手は確実に代表に肉薄するレベルまで引き上げている。往年のドイツを彷彿させるかのように、勝ち癖とともに相手への威圧感を増している。

 また同じくオリジナル10(リーグ創設メンバー)でも、娯楽性の高いスタイルに変貌し復活を遂げたのが横浜だ。実はクラブの歴史を辿れば、前身の日産自動車時代に元ブラジル代表主将のオスカーを監督に据えて以来、大筋では一貫して堅守が基盤となって来た。

 だが昨年アンジェ・ポステコグルー監督が就任すると明快な指針を打ち出し、初めてチームの色が変わった。それはスコアだけでも一目瞭然で、3ゴール以上が8試合(鹿島は5試合、FC東京は6試合)、また3失点以上が4試合(鹿島2試合、FC東京1試合)と痛快に暴れている。気がつけば、じわりじわりと地味に追い上げて来たロティーナ率いるC大阪とのチーム作りの対照が、また興味深い。

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