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海外サッカー

「泣きそうになった」ミランを救った30歳の苦労人。指揮官や伊紙も称える“ドラマチックな寓話”とは?

THE DIGEST編集部

2021.11.26

 さらに、ASDキエーリに移籍(12万ユーロの移籍金が発生)した16年は、15ゴールを挙げてリーグ優勝。翌年に受けたセリエBのプロ・ヴェルチェッリからの誘いは、EUパスポートを持っていなかったことで破談となるも、12月に加入したACゴッツァーノ(セリエD)でも素晴らしいパフォーマンスを発揮した。

 そして19年にセリエBのクロトーネに移籍すると、34試合6得点6アシストを記録し、チームのセリエA昇格に貢献。昨季は37試合に出場したカルチョのトップリーグで9ゴールを挙げたほか、ドリブル成功回数でロドリゴ・デ・パウル(ウディネーゼ)に次ぐセリエA第2位を記録する。

 こうした活躍で見る者に強いインパクトを与えた結果、ミランのパオロ・マルディーニSDが強い興味を示し、ついに世界的な名門クラブの一員にまで昇り詰めたのだった。

 とはいえ、トッププレーヤーとしてはフィジカル面で大きな問題を抱えていたため、ミランでは一から鍛え直すことを余儀なくされた。怪我もあってここまでの出場は、セリエAの2試合で合計でわずか51分間のみ。

 しかし、今回のアトレティコ戦では65分からピッチに立ってCLデビューを飾ると、その22分後に大きな仕事を果たして勝利の立役者となったのだ。
 
『Gazzetta dello Sport』からも「彼の最も美しい夜は、31歳を間近にして到来した」と報じられているメシアスは試合後、「何よりも勝利に満足している。ゴールとデビュー戦が必要な時に訪れたことも」とチーム第一の姿勢を強調しながら、この一夜を振り返っている。

「(ゴールの後には)これまでのことが頭をよぎり、泣きそうになった。純粋な感情だった。そして神様のことを考えた。これまでの僕の人生は、神様の導きによるものだと思う。今夜は僕の人生で最高のものであり、望むべくもなかったものだ。(ゴールの瞬間は)落ち着いていた。落ち着いている時は、素晴らしいことができる」

 さらに、このゴールを「僕を信じてくれた家族やブラジルの友人たち捧げたい」とも語ったメシアス。最終節へ「リバプールは難しい相手だが、我々は謙虚さを保ち、今日のような最初から最後までうまくいったプレーをする必要がある」と気を引き締めた30歳はこの先、どれだけの高みに到達することができるだろうか。

構成●THE DIGEST編集部
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