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日本代表

正念場を迎えた長友佑都――中島のベンチスタートで露わになった"短所"を克服する術はあるのか

清水英斗

2019.11.16

 ところが、縦パスがなかなか入らない。日本の起点であるダブルボランチ、柴崎岳と遠藤航が常にマークされていたからだ。

 吉田と植田、センターバックはフリーでボールを持ったが、10番ミルラン・ムルザエフがその間に立ち、ボールを横へ動かすことを阻害してくる。サイドを限定された中で、一方のサイドへスライドされたため、吉田と植田から間を通すような縦パスは出しづらい。裏へ蹴ることが多かった。

 3-1-4-2とのかみ合わせ的には、日本は両サイドバックが浮く形になる。右サイド、酒井宏樹を起点とする攻撃は機能した一方、左サイドは今ひとつだった。長友佑都にボールが渡ると、ウィングハーフの6番ビクトル・マイヤーが早いタイミングで前へ出て、寄せてくる。狙われた感もあった。

 相手に寄せられると、長友は利き足の右で、後ろ側か、内側へボールを置いてしまう。だが、その瞬間、左サイドを突く攻撃の可能性が消える。バックパスを出し、間延びした状態で最後はロングボールを蹴るしかなくなり、どんどん劣勢になる。
 
 前を向くことは出来なくても、たとえば長友がワンタッチでさばいて6番の前進プレスを避け、瞬間的にマークを外した柴崎や遠藤を経由して縦パスを入れるなど、方法はある。だが、丁寧に安全なプレーを選択する長友は、そうした場面でワンタッチの打開を試みること自体が少ない。しっかりとキープするので、長友自身はあまりボールを奪われないが、それによって状況を少しずつ悪くし、味方にボールを回してしまう。

 前半の途中からは原口がタッチライン際に開き、長友がハーフスペースに立つ様子が増えてきた。だが、やはり寄せられると、数メートルの間合いがあっても長友は右足に置いてしまうので、左サイドを広角に使えない。

 もっとも、こうしたビルドアップの詰まりを、超人的なデュエルで忘れ去らせてきたのが長友でもあるのだが、最近はその存在感がない。6番マイヤーへのサイドチェンジを起点に日本の左サイドを破られたのは、何も長友だけのせいではなく、システムのミスマッチを利用されたことと、前線のプレスを局面で剥がされたことにも問題がある。だが、そうやって相手優位の1対1を作られた上でも、鋭く身体を入れて闘いを制してきたのが、かつての長友だっただけに、今は長所が消え、短所が露わになる試合が増えた。ここが正念場だろう。

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