一方、母国メディアではスポーツ紙『L’EQUIPE』が「これ以上ない悪いスタート」と序盤の失点を振り返り、連続得点試合が23で止まったことを紹介。キリアン・エムバペ、カリム・ベンゼマ、クリストファー・ヌクンクによる攻撃トリオについては「相手にとってはさほど危険ではなかった」と酷評し、「リーグアン、ラ・リーガ、ブンデスリーガの最高の選手が組み合わさるとどうなるか？　特に効果はなかった」とも綴っている。

　スポーツ専門サイト『sports.fr』は出場選手を10点満点で採点しているが、最高は幾度か好守を見せたGKマイク・メニャン、チュアメニ、ヌクンクの「5.5」と及第点に至らず。攻撃陣では、エムバペが「５」、ベンゼマにいたっては「3.5」でチーム最低の数値に終わっており、とりわけマドリーの絶対的なストライカーに対する失望の大きさが窺える。
  　前述のキンペンベらは、まだ本大会までに時間があると語ったが、オンラインメディア『HUFFPOST』のフランス版は「カタールW杯までの残り５か月間で、レ・ブルーが集うのは９月末だけである。オーストリア戦とデンマーク戦（いずれもネーションズリーグ）で、後者は本大会で対戦するため、手の内を晒したくない相手だ」と反論。「６月の試合で、チームはほとんど進歩していない」と酷評し、「デシャン監督は５か月という短期間で、王座防衛に相応しいメンバーを探し出さなければならない」と厳しい展望を示した。

　国外メディアも世界王者の前途を懸念しており、米国の放送局『CBS』は「W杯タイトルホルダーの“呪い”が再び王者を襲うのか？」と報道。“呪い”とは、2010年大会以降、前回王者は全てグループリーグで敗退していることを指す。またフランスはディフェンディングチャンピオンとして臨んだ2002年大会では、開幕戦でセネガルに衝撃の敗戦（０-１）を喫した他、１点を奪えずに帰国という初の例を生み出した屈辱の過去がある。

「シーズン後の選手の疲労は考慮する必要があるが、ネーションズリーグでの早期脱落は不安を増長させる」と指摘する同メディアは、最後に「ジネディーヌ・ジダンがパリ・サンジェルマンの関心をかわしながら、レ・ブルーの指揮権を手にするのを待ち受けている間に、デシャンは10年間指揮してきたチームの再建に懸命に取り組むことになる」と綴り、指揮官が微妙な立場にあることを窺わせている。