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日本代表

【ブカツへ世界からの提言】心を開かせる「対話」を。ザッケローニたち名将もそうだった――日本の“悪しき伝統”をイタリア人指導者はどう見る?

THE DIGEST編集部

2022.06.26

アンチェロッティのような世界屈指の名将でさえも、どんな年代の選手たちとも対話は欠かさない。(C)Getty Images

アンチェロッティのような世界屈指の名将でさえも、どんな年代の選手たちとも対話は欠かさない。(C)Getty Images

 そもそも選手というものは、全員がそれぞれ異なった性格を持つ。また置かれている状況や立場も違う。彼ら一人ひとりからベストを導き出すには、対話を通して個々を知るしか方法はない。そうして得た情報から適切な言葉をかけることが、心を開かせる鍵なのだ。

 私は1991年から2001年まで、イタリアの名門ミランで広報の仕事をし、1999年から2007年にはミランのユース年代で指導もさせてもらった。その間にアリーゴ・サッキ、ファビオ・カペッロ、アルベルト・ザッケローニ、オスカル・タバレスといった多くの優秀な監督を間近に見る幸運に見舞われた。彼らは、いずれも辛抱強く、いかなる時も選手たちと対話をしていた。率いるのが、たとえ少年であれ、世界トップレベルの選手であれ、そうしたアプローチは変わらなかった。

 ミランを辞めた後、私は長年の夢であった監督という仕事につき、子どもから大人までの様々なチームを率いてきた。その時も一番重視してきたのは“対話”である。だからこそ、問題となった日本のコーチが選手とまともに話をしていたのかは気になってしまう。もし、暴力を振るわれた選手が何かミスをしたというのであれば、それはなぜ起こったのか、行動をする前に考えなかったのであろうか?
 
 サッカーの監督は良いコーチである以前に、何よりも良い教育者でならなければいけない。とくに若い選手を指導するならば、その色合いはより濃くなる。彼らが成長し、人格を構成するのに必要なハーモニーをチーム内に生み出す必要があるからだ。

 罵倒や暴力のもとに育った選手はサッカーを好きでいられるのか? 嫌がらせや屈辱を受け続けた時、チーム内で何を感じるのだろうか? 監督への不満が募った結果、最終的にはサッカーを憎むだけなのではないだろうか。

 我々イタリア人にとって、日本は礼節の国だ。試合後に綺麗に清掃されたロッカールームやサポーターの礼儀正しさは、有名な話だ。私もミランのツアーに同行した際に何度か日本に行った経験があるが、まさにそのイメージ通りだった。
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