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Jリーグ・国内

いったい部活は誰の為のもの? 堀越高校サッカー部はなぜ選手主体の活動「ボトムアップ」方式で強くなれたのか?

THE DIGEST編集部

2022.05.05

プレーヤーズ・ファーストは本来スポーツの原点。その意味で、堀越高校サッカー部の取り組みは注目に値する。写真:窪田亮

プレーヤーズ・ファーストは本来スポーツの原点。その意味で、堀越高校サッカー部の取り組みは注目に値する。写真:窪田亮

 プレイヤーズ・ファースト(選手第一)は、本来スポーツの原点である。まずプレーをしたい選手がいて、だからこそそれをサポートする指導者が存在する。何を目指してどんな活動をしていくのか、意思決定の主人公は当然選手であるべきなのだ。

 ところがいつの間にか日本の部活、あるいは大学や小中学生たちの現場でも、主人公が逆転するケースが多発するようになった。学校やクラブが目標を定め「ウチへ来れば勝てるようになるぞ」と勧誘を始め、指導者たちは「勝ちたかったらオレについて来い」とも黙従を強いる。実際このやり方は、対象が大所帯の若年層になるほど効率的だった。それを指導者は「チーム一丸」と都合の良い言葉で括るが、逆に個性の異なる選手たちに同じ規制をかけるのだから、当事者たちが描く明るく楽しい部活はどんどん陰っていった。
 
 中心的な役割を演じて栄冠に辿り着くひと握りの選手たちだけは達成感を得られるかもしれない。しかし艱難辛苦に染まった3年間を過ごす部員たちの方はどうだろうか。今までは彼らの声が外へ漏れて来ることはなかった。漏れていかないのは内部で止めておく仕組みが管理出来ていたからで、それが上からの圧力だった。監督、コーチ、上級生たちが絶対の権限を持ち、表面的な規律の維持を図る。旧来の強豪校では、いかにも軍隊的な構図が出来上がっていた。

 だが連日の長時間トレーニングやサッカー漬けの日々は、期間限定の魔法に過ぎない。ボトムアップ方式を部活に導入した畑喜美夫氏は、広島大河FCを入口とした自身の体験と照らし合わせても、とことん自由な時間を削り取り練習量ばかりを競い合う強豪校のやり方が疑問だった。

 広島大河FCを設立した浜本敏勝氏は、既に半世紀近く前から選手たちが自身の意思で例外なく楽しく参加する活動を貫いて来た。指導者も保護者も試合が始まれば「ノーコーチング」に徹し、監督は一人ひとりに丹念な目配り気配りを続けて来た。小学生時代から浜本氏の指導を受けて来た畑氏は、こうした環境から木村和司、森島寛晃、田坂昭和らの日本代表選手たちや多くのJリーガーが育ち、同時に荒んだ少年たちが立派に成長していく姿を目の当たりにして来た。だからこそ自身の実体験に経営論などを肉付けして、選手たちが全員責任を持って役割を分担しあい主体的に活動していくスタイルを編み出すことが出来たのだ。

 実はかつて堀越高校サッカー部も伝統的な上意下達方式で頭打ちの状態に陥っていた。北信越リーグのトップチームで指導歴を持つ佐藤実監督(当時コーチ)にとっても「もっと選手たちを主体的に楽しく活動させる」ことは心中で燻り続けたテーマだった。そして部活の上下関係を逆転させるきっかけを与えたのが、選手主体で全国制覇を成し遂げた畑氏率いる広島観音高の快挙だった。

「選手が主体的に考えて活動し、さらに結果も乗せて来る。まるで良いところ取りじゃないか。そんな方法があるのか」
 
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