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日本代表

攻められないし守れない…「ベストメンバー」のU-22日本が露呈した“組織“と“個人“の根深き問題

清水英斗

2019.11.18

 そしてお尻が重いまま、前線へ蹴ってしまうので、日本は間延びして前後の分断が起こりがち。そこでキープして時間を作る大迫勇也系のFWがいれば話は別だが、残念ながらこの試合は、コロンビアDFのボール奪取力のほうが際立った。本番の東京五輪は酷暑が予想されるので、相手チームもこの試合ほど運動量は上がらないだろう。とはいえ、ハイプレスを食らったときの解決法はもう少し整理したほうがいい。

 また、ビルドアップだけでなく、この試合は守備もお尻が重かった。

 54分の失点は、右ウイングバックの菅原由勢が中のマークに釣られ、空けたサイドのスペースに上がってきた相手サイドバックのクロスで喫したものだった。このときU-22日本は相手2枚のFWに対し、DF5枚が横一線で対応しており、エリア内が過多。そのこぼれ球を拾ったルイス・サンバドルにフリーで決められた。お尻が重すぎて、こぼれ球を拾える選手がいない。
 
 菅原が空けたサイドへカバーに走ったのは、堂安だったので、そこで中盤は薄くなった。少なくとも菅原と岩田のどちらかは、前に出て寄せる意識を持ってほしいところだが、ふたりともに最終ラインのポジションに下がってしまった。その結果、田中駿汰と菅原、岩田の間でサンバドルがポッカリ空き、決められている。

 相手に動かされたとき、どう対応するか。誰がカバーに行き、その場合は他の選手がどうポジションを取るか。もっと整理しなければならないだろう。

 また、56分の2失点目は、数的不利で速攻を受けた場面だったが、板倉滉の対応には疑問符が付く。ボールに立田悠悟が対応したとき、板倉はゴールから外れる方向へカットアウトしたFWリカルド・マルケスを深追いしてしまい、ゴール正面のスペースを空けた。そして立田に対するカバーポジションを取ろうと、菅大輝が内へ絞ったことで、大外のフアン・パブロ・ラミレスが空き、最後はフリーで決められてしまった。

 問題は板倉がゴール中心の守備ではなく、人中心の守備をしたこと。数的不利の状況で、人中心の守備をすれば、間違いなく相手は誰かがフリーになる。速攻を受けたときは、ゴール中心の守備をしてMFのプレスバックを待つか、できるだけ可能性の薄い攻撃に誘導することが不可欠だ。薄い角度へカットアウトした選手を、板倉がそこまで追う必要はなかった。
 

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