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海外サッカー

失敗の象徴と見られた天才。「スペイン人」と揶揄されたメッシの変化こそ36年ぶり世界制覇の原動力だ【W杯】

THE DIGEST編集部

2022.12.19

 自ら「最後になる」と意気込んで臨んだ大会だっただけに、サウジアラビア戦後にメッシ自身、胸中穏やかでなかったのは想像に難くない。それでも矢面に立ってチームを統率した彼のリーダーシップについては、米スポーツ専門局『ESPN』は次のようにまとめている。

「長年、メッシはアルゼンチンのファンから怒鳴られていた。彼は『ペチョ・フリオ』(ハートがない奴、冷めた奴の意)と呼ばれた。それはクラブや代表チームの意味のあるユニホームを着ていても『情熱』を感じない選手を指す言葉である。10代の頃からバルセロナに住んでいた彼は、『スペイン人だ』と言われた。国歌を歌わず、レフェリーにも食い下がらず、苦しい時にチームを後押ししない、と散々文句を言われた。クラブでは多くのタイトルを獲得していたにもかかわらず、この天才は『失敗の象徴』のように見られていたのだ」

「2019年7月2日、すべてが変わり始めた。アルゼンチンはコパ・アメリカの準決勝でブラジルに完敗。しかし、敗れたチームの選手たちはVARチームに加えて、エクアドル人の主審に不満を抱いていた。この時も多くの人はメッシが静かに喋って終わりだろうと感じていた。だが、マイクを向けられた10番は火を噴いた。これまで見たことのない暴言でまくしたてると、ブラジルが南米サッカーを支配しているとまで言ったのだ。それは、メッシのペチョ・フリオ時代の終焉であり、マラドーナのようなアイコンになるための原型の誕生でもあった」

 今大会は準々決勝のオランダ戦後に、「リスペクトを欠いていた」という相手選手に「何見てんだよ! あっち行け、バカ」とインタビューエリアでまくしたて物議を醸した。このフランスとの決勝でもゴールを決めてから今までにないほどの雄たけびを上げた姿は、およそ「ペチョ・フリオ」のそれではなかった。
 
 この決勝で数多のビッグセーブを披露し、殊勲者の一人となったアルゼンチンの守護神エミリアーノ・マルティネスは言う。

「昨年のコパ・アメリカで僕は素晴らしいメッシを見た。あの大会での彼は間違いなく最高の選手だったんだ。でも、今回のワールドカップでは、コパ・アメリカよりも一歩前進している彼を見ている」

 クラブシーンでの活躍とは裏腹に代表では幾度となく負けを経験し、「冷めた奴だ」と見られていたメッシ。そんな彼のリーダーとしての変化(あるいは成長)がアルゼンチンを一つにし、36年ぶりの世界制覇の原動力になったのは間違いない。

構成●THE DIGEST編集部

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