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海外サッカー

メッシの戴冠で再び活発化するマラドーナとの比較論争!無意味な比べ合いには否定的意見も「時代が違う」【W杯】

THE DIGEST編集部

2022.12.20

 欧州のスポーツ専門放送局『talkSPORT』では、元スコットランド代表で1980~90年代に活躍したコメンテーターのアリー・マッコイストが「メッシがW杯に優勝しても、比較論争に決着がつくことはない」と断言するとともに、こちらも「そもそも比較することは不可能」だと指摘。マク・アリステル父同様、違う年代であること、そして2人が置かれたピッチの環境が全く異なることも挙げている。

「マラドーナに関する『Netflix』のドキュメンタリーを見たことがあれば、いかに当時のタックルが残忍なものだったかが分かる。それは(現在の基準では)イエローカードで済むようなプレーではなかった。まさに“残忍”だった。彼の足首を故意に狙って骨折させたアンドニ・ゴイコエチェア(当時アスレティック・ビルバオ)には、6か月の出場停止が与えられるべきだった(実際は10試合)。それは、今とは全く別の時代だった」

「メッシが、これまでで最高の選手であるかと訊かれれば、間違いなくイエスと断言できる。実際、私が今まで見たなかで最も才能のあるサッカー選手の一人だ。しかし、メッシはマラドーナとは別の時代にプレーしたため、比較にはならない。彼らは、ほとんど別のスポーツでプレーしていたと言ってもいい」

 相手の重要選手を止めるために、ファウルどころか怪我をさせることも厭わなかった1980年代、マラドーナは自身を守るための技術や身のこなしを身につける必要があった。

 そして、すね当てだけでなく、足首、さらにはアキレス腱やふくらはぎにすらパッドを入れて、相手マーカーの故意のキックに備えなければならなかったが、それでもあらゆるコンペティションで、彼は最もファウルを受け、ピッチに倒される回数の多い選手だった。
 
 FIFA(国際サッカー連盟)は、守備的傾向が強くなって得点数が減ることでサッカーの魅力が低下することを懸念し、また競技のイメージ向上も狙って、80年代後半にフェアプレーキャンペーンを実施。とりわけマラドーナのような攻撃のスターを悪質なファウルから守る必要性に迫られ、結果、背後からのタックルなどには厳罰が下ることとなり、W杯では1990年イタリア大会からこの判定基準が(やや過剰に)採用されることとなった。

 以降、段階的な判定基準の変更の中でも攻撃選手を守るという傾向は変わらず、今やメッシのような選手であっても悪質なファウルで倒され、戦線離脱を強いられるというようなことは滅多になく、彼らは審判、さらにはVARというテクノロジーによっても守られるようになっている。試合数の増加など80年代にはない別の苦しみがあるとはいえ、攻撃のスターがファウルの脅威に晒されることなくプレーできるのは、マラドーナの犠牲があってのものだと言っても過言ではない。

 今大会、アルゼンチンのファンは「マラドーナが見守ってくれる」と口々に語り、メッシは「ディエゴが天国から我々を後押ししてくれる」とのコメントを発したことがあったが、偉大な先輩からの“後押し”はメッシがこの世に生を受けた(1987年)頃から、もう始まっていたのである。

 いずれにせよ、それでも比較論争は続いていくのだろうが、それはバルダーノが言うように、偉大な選手に課せられた宿命なのかもしれない。果たしてこの先、この論争に新たに加わる才能が、アルゼンチンからいつ生まれるだろうか?

構成●THE DIGEST編集部

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