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日本代表

「まだ上に行かないといけない」ブライトン指揮官も評価を改めた三笘薫の急成長。末恐ろしい25歳の進化【現地発】

松澤浩三

2023.01.05

目に見える結果を残しながら、成長していった三笘。彼の活躍ぶりにはブライトンを率いる指揮官の考えも変わってきている。(C)Getty Images

目に見える結果を残しながら、成長していった三笘。彼の活躍ぶりにはブライトンを率いる指揮官の考えも変わってきている。(C)Getty Images

 アーセナルとのビッグマッチでフィニッシュが冴えた三笘。遡ること5日前。今季初のフル出場となった敵地セント・メリーズでのサウサンプトン戦でも、秀逸のパフォーマンスを見せていた。

 スキルフルなドリブルでセインツ(サウサンプトンの愛称)守備陣を翻弄し、低弾道のクロスを次々にペナルティーエリアに入れるなど、危険なプレーを連発。抜群の存在感を示していた。

 しかし、その試合後には、「決めきりたかったシーン(で決められなかった場面)が多かったので、そこは課題。ああいうところで決めきれないと、今後は厳しくなってくると思います」と自身の決定力不足を反省していた。それだけに、ガナーズ(アーセナルの愛称)戦で2度にわたってゴールを沈めた(そのうち1度は取り消されたのだが……)“有言実行”は、評価されてしかるべきである。

 これだけの修正力があるからこそ、三笘は短期間で瞬く間にレギュラーの座を掴めたのではないだろうか。探求性を持ち続けて日々努力をいとわずに、そして何よりすぐに結果に反映させる。おそらく川崎フロンターレ時代もそうであり、昨シーズンのロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズでも同様だったはずだ。

 カタールW杯での大躍進で忘れがちだが、三笘はプロとしてデビューしてからまだ4年目の選手である。そんな彼の成長を振り返るうえで、思い出されるのが10月初旬のトッテナム戦(プレミアリーグ第10節)後の記者会見だ。

 イタリア人のロベルト・デ・ゼルビ監督が就任してから2戦目となったこの試合で、三笘はその前節のリバプール戦に続いて途中出場。その起用法はグラハム・ポッター前監督と同様のジョーカー的な役割だった。そこで筆者は、新監督にプランニングを訊いた。
 
 デ・ゼルビは「三笘はとても良い選手だ」と前置きし、次のように続けた。

「リバプール戦では彼とアダム・ララーナが試合を変えた。今日のトッテナム戦も同様だった。良い選手はみんなピッチ上に並べたいが、11人しかプレーしてはいけないんだよ」

「最良の解決法を見出すのは容易ではない。(レアンドロ)トロサールも良い選手だし、グロスも(ソニー)マーチも同様だ。(この2戦は)三笘は左のウイングでプレーさせ、マーチを左サイドバックでプレーさせてみた」

「これが解決策かもしれないが、現時点では分からない」と、日本人記者を相手にしたからか、いたずらっぽく笑っていたのが印象的だった。その後、指揮官は三笘を重用していくわけだが、直近の2試合では連続してフル出場させている。以前であれば、途中投入あるいは、先発でも60分ほどでベンチに下げられる役割だったはずの三笘をピッチに残して、逆にトロサールやマーチを交代させている。

 あくまで“現時点では”と限定的にすべきであるが、W杯でチームを離れる以前から好調を維持している25歳は、昨夏に加入したブライトンで中心選手へと急成長を遂げたと言っていい。
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