専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
日本代表

“王様気質”な中島翔哉をチームの軸にするのか。惨敗のベネズエラ戦で思い出した内田篤人の言葉

白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

2020.01.03

ベネズエラ戦では潰されるシーンも目についた中島。今後、どんな使われ方をするのか。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

ベネズエラ戦では潰されるシーンも目についた中島。今後、どんな使われ方をするのか。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 中島が非効率的なドリブルを幾度もチャレンジする一方で、相手もボールも動かす効率的なサッカーを展開したのがベネズエラだった。最終ラインからリズムよく組み立て、アタッキングサードに入ったあたりから両サイドのジェフェルソン・ソテルドとダルウィン・マチスがドリブルで突進していく。中島の単独突破以上に彼らのそれに怖さと迫力があったのは、ドリブルの使いどころが的確だったからだろう。

 ボールは汗をかかない――。サッカー界で有名なこの名言を鵜呑みにすれば、ドリブルは多用すべきではない(使うなと言っているわけではない)。ここで思い出されるのは、久保建英のコメントだ。今季のJ1リーグ前半戦、当時FC東京でプレーしていた彼は、「ドリブルでも行けた場面でパスを選択したのは?」というニュアンスの質問に対し、何度か「ドリブルよりパスのほうが速いので」と答えていた。ドリブルよりも燃費のいいパスをできるだけ有効活用しようという思考が、久保にはあるのだろう。
 
 久保のそんなスタンスを中島も真似てほしいと勝手に願う一方で、一度染みついたプレースタイルを変えるのはかなり困難だとも思う。そう簡単には「進化後のルカワくん」になれない。

「中島はあくまでドリブラー」とするなら、最大の焦点は起用法になる。そこで注目したいのが、日本代表を率いる森保一監督の決断だ。“王様気質”で自由奔放な中島をチームの軸にするのか、それとも……。

 中島の起用法は、森保ジャパンの今後を占う意味でも重要なポイントになるはずだ。このまま左サイドハーフを任せるのか、南野拓実とセカンドトップを競わせるのか、はたまた最前線に置いて“偽9番”的な役割を託すのか。いずれにしても、森保監督に求められるのは、中島と心中するか否か――、そういう決断だろう。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集長)

※『サッカーダイジェスト』2019年12月12日号より転載。

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号