クラブにとって重要な存在を次々に手放す決断を下したフロント陣に、ミラニスタたちは激怒し、SNSでは「#Cardinaleout（カルディナーレ出ていけ）」というハッシュタグを広めるなどの動きで、米国人オーナーのジェリー・カルディナーレへの抗議を示したと、日刊紙『Corriere dello Sport』は報じている。

　彼らをさらに怒らせたのは、マルディーニ、マッサーラに代わって戦力補強の責任者となったCEOのジョルジョ・フルラーニCEOとスカウティング責任者のジョフリー・モンカダが交渉に手間取り、争奪戦においてリードしているといわれていたFWマルクス・テュラム（ボルシアMG）を土壇場で宿敵インテルに奪われる可能性が高まっており、MFダビデ・フラッテージら別のターゲットについても苦戦を強いられていることだ。

　クラブの専門サイト『sempremilan.com』は、「メルカートでの苦戦は、ブランドとしてのミランが史上最低の状態にあることを意味している（それはカルディナーレ・オーナーが恐れていたことだ）。マルディーニの解任は後味の悪いものとなり、新経営陣には迅速かつ強力な対応が必要だったが、逆の結果となった。そして、絶望感がクラブを覆っている」と綴り、さらに以下のように批判を展開している。
  「カルディナーレは、マルディーニという存在の重みを過小評価していたようだ。フルラーニはリーマン・ブラザーズやエリオット・マネジメントで働いた経験を持つ企業出身だが、サッカー界での経験はない。一方、モンカダは今も昔も単なるスカウトだ。ミランはこれまでに多くの選手を失い、逆にひとりの補充もできていない。したがって、ステーファノ・ピオーリ監督は、就任時のような非常に困難な状況に戻りつつあり、できるだけ早く解決しなければならない状況にある」

　さらに同メディアは、フロント陣の不安点も指摘。「懸念されるのは、フルラーニCEOとカルディナーレ・オーナーの間の不和の噂だ。CEOはモンカダとともに、伝統的な方法でクラブを運営したいと考えているのに対し、オーナーは経営の完全なアメリカ化を要求。フルラーニがレッドバードではなく、エリオット・マネジメントの一員としてクラブに到来し、少年時代からのミラン・ファンでもあることから、現オーナーとは異なる見解を持っている」として、一枚岩となっていないことを指摘した。