事実、今季開幕前のデータ会社『Opta』によるプレミアリーグ展望で、リバプールの優勝確率は筆頭マンチェスター・シティの82.8％を大きく下回る「5.1％」であり、多くの有識者たちがこの下馬評の低さの原因として、クロップの退任と、その後釜に収まった馴染みのないオランダ人監督への猜疑心を挙げたのである（スポーツ専門チャンネル『Sky Sports』より）。

　しかし『ECHO』紙は、「悪くはないが、控えめな実績」の持ち主であるスロットを「リバプールにとって『掘り出し物』だった。就任前は不安視されたが、実際に采配が始まってから、彼への評価は一変した。アンフィールドで経験を積み、注目を集める中で成長を遂げることによって、彼は今や、欧州屈指の戦術家・指導者としての評価を確立した」と絶賛した。

　一方、日刊紙『The Guardian』は、フェデリコ・キエーザひとりを補強しただけでリバプールが序盤から突っ走って優勝したことが「クロップ前監督による“有終の美”なのか？　あるいは、これからスロット監督が新時代を築くための“礎”なのか？」と疑問を呈し、「クロップから引き継がれたチームは、非常に良好な状態だった」「リバプールは非常に優れており、ライバルたちはそうでなかった」と見解を示した上で、「この優勝が今後どのように語られるかは、次に何が起こるかに懸かっている」と結論を来季以降に持ち越している。
  　来季以降は重要だという見方は、スロット監督の手腕を称えた『ECHO』紙も同様で、「彼が次に目指すのは『タイトル防衛』だ。これはボブ・ペイズリー監督以外の、どの歴代監督も成し遂げていない。もちろん、来季これに失敗したとしても、それでスロット監督の評価が下がるわけではない。なにしろ、クラブの133年の歴史の中でも『連覇』は極めて稀な偉業なのだ（過去５回）」と期待を寄せる。

　今季はチャンピオンズリーグでもリーグフェーズを首位通過し、一時はダントツの優勝候補とされ、FAカップと併せて「トレブル」が期待されていたことを考えれば、幾らか満足感が削がれたというファンも少なくないだろう。その手腕については、称賛される一方で、「メンバーを固定しすぎ」など幾度も指摘を受けたのも事実だ。

『ECHO』紙は、「無名に近い存在が、プレミアリーグで見事にその名を刻んだ。しかし彼にとって、リバプールでの成功の章は、まだ始まりにすぎない」と綴ったが、この新たな優勝監督が来季以降、より多くの注目を集め、またプレッシャーがかかるであろう環境の下、いかなるチームを創り上げ、進化を遂げていくか。今から非常に興味深い。

構成●THE DIGEST編集部

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