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海外サッカー

「最強リバプール」を作り上げたクロップ監督の“源流”とは?磨き上げられた戦術センスの裏側に迫る

遠藤孝輔

2020.02.13

アリーゴ・サッキ(左)、ヨハン・クライフ(右)。(C)Getty Images

アリーゴ・サッキ(左)、ヨハン・クライフ(右)。(C)Getty Images

 サッキのミランからインスピレーションを得たフランクとラングニックがその後、脱マンツーマンディフェンスという答に行き着いたのは必然だったわけだ。もっとも、フランクの頭の中には3バックは「フランツ・ベッケンバウアーのようなリベロがいてこそ機能するもの。そんな優秀な選手、マインツにいるわけがない」という考えもあったが。

 フランクの話をもう少し続けるなら、現役時代の彼は73年夏にVfBシュツットガルトからAZアルクマールに移籍。オランダで1シーズンだけプレーした。その時に衝撃を受けたのが、そう、ヨハン・クライフ擁するアヤックス・アムステルダムのトータルフットボールだ。そして前述のとおり、現役引退後はサッキに傾倒していく。フットボールの歴史を変えた偉人たちに魅せられ、自身も母国で戦術の一大革命を起こした。それから20年以上の時が流れ、今度は愛弟子であるクロップが、モダンフットボールの潮流を形作っている。
 
 ドイツ・サッカー界は輝かしい歴史を誇る一方で、これまで明確なゲームモデルに基づく戦術的アイデンティティーを確立した試しがなかった。90年代まではリベロ&マンツーマンディフェンスと不屈のメンタリティーといった個の力を拠り所としていたし、00年代半ばからはヨアヒム・レーブ代表監督がスペイン流のポゼッションサッカーを志向した。それが現在は、クロップとラングニックのチームが用いるストーミングが主流になりつつある。

 同じバーデン=ヴュルテンベルク州出身というだけで、直接的な接点はないものの、サッキという共通のキーワードを持つラングニックが、愛弟子のクロップ率いるリバプールの発展に間接的ながら寄与している現実を、天国のフランクはどんな思いで見守っているだろうか。

文●遠藤孝輔

※『ワールドサッカーダイジェスト』2020年2月6日号より転載

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