――高徳選手なりの日本代表へのリスペクトですか。
「そんなところです。厳しい国際試合を経験させなければ、次の人材は育ちませんから。たとえレギュラーでなくても、アクシデントが起きた時のために常に危機感を持っているのが重要です。中にはいましたよ、メンバーに選ばれただけで満足している選手も。でも僕は常にサイドバックの3番手だったので、右か左のどっちかの選手が怪我したら絶対に出なければいけなかった。そこに責任があったから、いつもコンディション調整は怠らなかったし、ギラギラしていた自負があります。自分はそうやって成長したから、それを若手に味わってほしい。だから僕はもう行くつもりはありません」
――カタール・ワールドカップで、レギュラーを取るという気持ちにはならなかったのですか?
「その気持ちで臨んだのが、14年のロシア大会までの4年間でしたから。でも本大会で『結局またここか』って感じている自分がいて。しかも所属チームの状況が良くなかったのもあります。僕には、ザルツブルク、ポルト、ガラタサライ、マルセイユなど国内リーグで優勝を争うようなチームとは違うプレッシャーがありました。いつも残留争いの連続で代表以外の負担が大きかった。特に僕みたいなタイプはコンディション命なので、代表戦の3日後に、100%でドイツでのリーグ戦に臨めない状況は本末転倒で……それなら、クラブだけに集中しようって」
――『僕は長谷部選手や本田選手のように結果を残していないから〝引退〞ではない』とも言っていました。その真意は?
「『引退』じゃないからまた行くということではないです。ただ『引退』という華やかな言葉を使いたくなかった。悪い言い方をすれば『逃げ』です。結果を残せずに出て行ってしまったわけですから。『引退』という言葉は、ハセさんや圭佑くんのように素晴らしい結果を残して貢献してきた選手が使うものであって、僕は少し違うかなと」
――では、高徳選手にとってキャリアのゴールは?
「現役を辞める時に、後悔なく笑顔で終われたら、それが最高のゴールです。日本代表としてワールドカップでベスト8に入ろうとか、そういう具体的な目標は、今はありません。もちろん僕がいるのは勝負の世界だから、どの試合にも勝ちたいし、常に得点やアシストをしたい。そういう目の前の課題はいくつもあります。今なら、ヴィッセルをひとつでも上の順位に上げること。僕がいる間に、できるだけ多くの栄光を掴むために、120%を注いで様々なものをもたらしたい。それがゆくゆくは、最高のゴールにつながるはずです」
PROFILE
さかい・ごうとく/ 1991年3月14日生まれ、新潟県出身。176㌢・74㌔。三条SSS―レザーFCJrユース―新潟ユース(プロ以降はキャリアレコード参照)。J1通算78試合・1得点。ブンデスリーガ1部通算168試合・2得点。ブンデスリーガ2部通算31試合・0得点。日本代表通算42試合・0得点。フィジカルと敏捷性に優れ、左右のSBをそつなくこなす。2012年から招集されたA代表では、ワールドカップに2度(14年南アフリカ大会、18年ロシア大会)出場した。
取材・文●多田哲平
※『サッカーダイジェスト』2019年10月10日号より転載
「そんなところです。厳しい国際試合を経験させなければ、次の人材は育ちませんから。たとえレギュラーでなくても、アクシデントが起きた時のために常に危機感を持っているのが重要です。中にはいましたよ、メンバーに選ばれただけで満足している選手も。でも僕は常にサイドバックの3番手だったので、右か左のどっちかの選手が怪我したら絶対に出なければいけなかった。そこに責任があったから、いつもコンディション調整は怠らなかったし、ギラギラしていた自負があります。自分はそうやって成長したから、それを若手に味わってほしい。だから僕はもう行くつもりはありません」
――カタール・ワールドカップで、レギュラーを取るという気持ちにはならなかったのですか?
「その気持ちで臨んだのが、14年のロシア大会までの4年間でしたから。でも本大会で『結局またここか』って感じている自分がいて。しかも所属チームの状況が良くなかったのもあります。僕には、ザルツブルク、ポルト、ガラタサライ、マルセイユなど国内リーグで優勝を争うようなチームとは違うプレッシャーがありました。いつも残留争いの連続で代表以外の負担が大きかった。特に僕みたいなタイプはコンディション命なので、代表戦の3日後に、100%でドイツでのリーグ戦に臨めない状況は本末転倒で……それなら、クラブだけに集中しようって」
――『僕は長谷部選手や本田選手のように結果を残していないから〝引退〞ではない』とも言っていました。その真意は?
「『引退』じゃないからまた行くということではないです。ただ『引退』という華やかな言葉を使いたくなかった。悪い言い方をすれば『逃げ』です。結果を残せずに出て行ってしまったわけですから。『引退』という言葉は、ハセさんや圭佑くんのように素晴らしい結果を残して貢献してきた選手が使うものであって、僕は少し違うかなと」
――では、高徳選手にとってキャリアのゴールは?
「現役を辞める時に、後悔なく笑顔で終われたら、それが最高のゴールです。日本代表としてワールドカップでベスト8に入ろうとか、そういう具体的な目標は、今はありません。もちろん僕がいるのは勝負の世界だから、どの試合にも勝ちたいし、常に得点やアシストをしたい。そういう目の前の課題はいくつもあります。今なら、ヴィッセルをひとつでも上の順位に上げること。僕がいる間に、できるだけ多くの栄光を掴むために、120%を注いで様々なものをもたらしたい。それがゆくゆくは、最高のゴールにつながるはずです」
PROFILE
さかい・ごうとく/ 1991年3月14日生まれ、新潟県出身。176㌢・74㌔。三条SSS―レザーFCJrユース―新潟ユース(プロ以降はキャリアレコード参照)。J1通算78試合・1得点。ブンデスリーガ1部通算168試合・2得点。ブンデスリーガ2部通算31試合・0得点。日本代表通算42試合・0得点。フィジカルと敏捷性に優れ、左右のSBをそつなくこなす。2012年から招集されたA代表では、ワールドカップに2度(14年南アフリカ大会、18年ロシア大会)出場した。
取材・文●多田哲平
※『サッカーダイジェスト』2019年10月10日号より転載