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海外テニス

【伊達公子】電子判定は時代の流れ。主審に権限を与えるか、いなくなる運命か<SMASH>

伊達公子

2025.08.01

「選手がジャッジに対してイライラする割合は減ります」と言う伊達公子さん。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

「選手がジャッジに対してイライラする割合は減ります」と言う伊達公子さん。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 ウインブルドンが今年から電子判定を取り入れたことで、テニス四大大会のうち、3大会からラインズマンがいなくなりました。時代の流れですね。

 グランドスラムで電子判定が取り入れられたばかりの頃は、人間味があるのもテニスの魅力だという気持ちの方が強かったものです。審判とのやり取りもテニスならではの部分があり、マッケンローのようなタイプが人気な時代もありました。

 今はルールも厳しくなり、選手が審判に何か物を申す時には言い方やタイミングを考えた上でなければ主審からのペナルティ、観客からの反応、メディアにも取り上げられるため、破天荒なタイプがいなくなっている現状もあります。

 試合の風景の中にラインズマンがいないのは寂しい気もしますが、プラスの要素も多いと感じます。選手がジャッジに対してイライラする割合は減ります。グランドスラム(四大大会)だけでなく、世界中で開催されるツアー大会では、ラインズマンを準備するのが大変でしょうから、負担が減るでしょう。
 
 ただ、完全には信じきれないという声も挙がっています。聞いた話では、チャレンジシステムの場合、ラリーでバウンドしたボールの跡が複数あり、どのボール跡がチャレンジを要求されているのかを判断するのは人だそうです。人がかかわる部分があれば、ミスにつながることもあるでしょう。チャレンジのシステムよりも、電子判定の方が人の介入する割合は少ないとは思いますが、100%ではありません。

 ウインブルドンで特に話題になったのは、アナスタシア・パブリチェンコワの試合での判定です。見るからにアウトのボールに電子判定が反応せず、主審が止めてやり直しを言い渡しました。電子判定下での審判の権限がどれほど与えられているかわかりませんが、誤作動の可能性がある以上、審判に判断する権限を与えることを考えた方がいいと思います。

 今のままでは、主審が座っている必要性を問われる状況です。スコアだけならコンピューターの声を流せばいいわけですから。今はまだ想像できませんが、その内に主審もいなくなる時代がくるのかもしれません。

 そもそもラインズマンは時間で交代できますが、主審は交代がありませんし、試合中にはトイレにもいけません。そいう大変な役目こそ、コンピューターが代わりになりそうです。ビデオ判定もテニスがスポーツ界の中で先駆けて導入したように、審判がいない試合を初めて実施するスポーツになるかもしれません。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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