連日熱戦が繰り広げられているテニス四大大会「ウインブルドン」(6月30日~7月13日/イギリス・ロンドン/芝コート)。1877年の初開催から148年を迎える今年の大会からは全てのコートで線審を廃止し、電子判定が全面的に導入されている。
しかし既報の通り、長きにわたり伝統と歴史を重んじてきた“テニスの聖地”での電子判定導入に対して、選手たちはストレスを感じている様子だ。『UBITENNIS』など複数の海外メディアによれば、男子のジャック・ドレイパー(イギリス/世界ランキング4位)とベン・シェルトン(アメリカ/同10位)は電子判定を「100%正確とは言えない」と評し、女子のエマ・ラドゥカヌ(イギリス/同40位)も「あてにはできないと思う」と苦言を呈したとのことだ。
今大会の男子シングルスで8年ぶりのベスト16進出を果たした元世界3位のマリン・チリッチ(クロアチア/現83位)と、女子シングルスで8強入りした元4位のベリンダ・ベンチッチ(スイス/現35位)も同様の意見を述べている。
現地7日の4回戦でフラビオ・コボッリ(イタリア/同24位)に4-6、4-6、7-6(4)、6-7(3)で敗れた36歳のチリッチは、試合後の記者会見で電子判定そのものが不要だと主張。その上で長年大会運営に多大な貢献を果たしてきた線審が廃止されたことへの違和感をこう口にした。
「電子判定が必要だとは思わない。長年にわたって、線審たちが素晴らしい仕事をしてきたのに、なぜそれを排除する必要があるのかわからない。過去を振り返ればわかると思うけど、現在主審を務めている人たちも、かつてはウインブルドンや全米オープンの決勝といった大舞台で線審を経験していたわけだ」
一方、同7日の4回戦で第18シードのエカテリーナ・アレクサンドロワ(ロシア/同17位)に7-6(4)、6-4で勝利した28歳のベンチッチは、前日のアナスタシア・パブリチェンコワ(ロシア/同50位)とソナイ・カルタル(イギリス/同51位)による4回戦で明らかなロングアウトに対して電子判定が反応しないというハプニングが発生したことに触れつつ、こう語っている。
「正直、電子判定は信頼していない。あまりこの話題については話したくないけど、電子判定にはやっぱりストレスを感じる。明らかにアウトに見えるボールがあって、一度は“もう打たなくていいや”と思っても、入っているかもしれないから“やっぱり打ち返さなきゃ”って思い直す必要がある。これは私に限らず、どの選手にも起こること。だから電子判定のもとでは集中力を切らさず、たとえ視覚的にアウトだと思ってもボールを追い続けることが大事。この前パブリチェンコワに起きたことは本当に信じられない出来事だった」
チリッチやベンチッチのように、長年線審のいる環境で戦ってきたトップ選手が電子判定に違和感を覚えるのは無理もない。だが、ドレイパーやシェルトン、ラドゥカヌといった若い選手からも否定的な声が上がっていることを考えれば、テニス界全体にとって「判定の完全電子化」はまだ過渡期にあるのかもしれない。
文●中村光佑
【画像】チリッチほか、ウインブルドン2025を戦う男子トップ選手たちの厳選フォト
【画像】ベンチッチほか、ウインブルドン2025を戦う女子トップ選手たちの厳選フォト
【関連記事】ウインブルドンで電子判定の誤作動発生!主審の“理不尽判定”にパブリチェンコワは「特異な状況だった」と不満を吐露<SMASH>
しかし既報の通り、長きにわたり伝統と歴史を重んじてきた“テニスの聖地”での電子判定導入に対して、選手たちはストレスを感じている様子だ。『UBITENNIS』など複数の海外メディアによれば、男子のジャック・ドレイパー(イギリス/世界ランキング4位)とベン・シェルトン(アメリカ/同10位)は電子判定を「100%正確とは言えない」と評し、女子のエマ・ラドゥカヌ(イギリス/同40位)も「あてにはできないと思う」と苦言を呈したとのことだ。
今大会の男子シングルスで8年ぶりのベスト16進出を果たした元世界3位のマリン・チリッチ(クロアチア/現83位)と、女子シングルスで8強入りした元4位のベリンダ・ベンチッチ(スイス/現35位)も同様の意見を述べている。
現地7日の4回戦でフラビオ・コボッリ(イタリア/同24位)に4-6、4-6、7-6(4)、6-7(3)で敗れた36歳のチリッチは、試合後の記者会見で電子判定そのものが不要だと主張。その上で長年大会運営に多大な貢献を果たしてきた線審が廃止されたことへの違和感をこう口にした。
「電子判定が必要だとは思わない。長年にわたって、線審たちが素晴らしい仕事をしてきたのに、なぜそれを排除する必要があるのかわからない。過去を振り返ればわかると思うけど、現在主審を務めている人たちも、かつてはウインブルドンや全米オープンの決勝といった大舞台で線審を経験していたわけだ」
一方、同7日の4回戦で第18シードのエカテリーナ・アレクサンドロワ(ロシア/同17位)に7-6(4)、6-4で勝利した28歳のベンチッチは、前日のアナスタシア・パブリチェンコワ(ロシア/同50位)とソナイ・カルタル(イギリス/同51位)による4回戦で明らかなロングアウトに対して電子判定が反応しないというハプニングが発生したことに触れつつ、こう語っている。
「正直、電子判定は信頼していない。あまりこの話題については話したくないけど、電子判定にはやっぱりストレスを感じる。明らかにアウトに見えるボールがあって、一度は“もう打たなくていいや”と思っても、入っているかもしれないから“やっぱり打ち返さなきゃ”って思い直す必要がある。これは私に限らず、どの選手にも起こること。だから電子判定のもとでは集中力を切らさず、たとえ視覚的にアウトだと思ってもボールを追い続けることが大事。この前パブリチェンコワに起きたことは本当に信じられない出来事だった」
チリッチやベンチッチのように、長年線審のいる環境で戦ってきたトップ選手が電子判定に違和感を覚えるのは無理もない。だが、ドレイパーやシェルトン、ラドゥカヌといった若い選手からも否定的な声が上がっていることを考えれば、テニス界全体にとって「判定の完全電子化」はまだ過渡期にあるのかもしれない。
文●中村光佑
【画像】チリッチほか、ウインブルドン2025を戦う男子トップ選手たちの厳選フォト
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