7月初めのテニス四大大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/芝コート)の女子シングルスで、今季初優勝と四大大会6勝目をゲットした元世界ランキング1位のイガ・シフィオンテク(ポーランド/現3位)。だがそこまでの道のりは決して平たんではなかった。特に昨年9月に自身のドーピング違反が判明した時にはひどくショックを受け、もはやテニスどころではない“暗黒の日々”を過ごしていたという。
現在行なわれている女子テニスツアー「ナショナルバンク・オープン」(7月27日~8月7日/カナダ・モントリオール/WTA1000)で北米ハードコートシリーズ初戦を迎えるシフィオンテクは、開幕前に元男子世界王者のアンディ・ロディック氏(アメリカ/42歳)が司会を務めるテニス系ポッドキャスト『Served with Andy Roddick』に出演。その中でドーピング違反の通知を受けた時の心境をこう振り返った。
「本当に最悪の経験だった。ワルシャワ(ポーランドの首都)でのプロモーションイベントに参加した際、合間にメールを確認したらITIA(テニスの不正行為を監視する第三者機関)からメールが届いていたの。最初は、いつものリマインドメールだと思っていたけど、私はそのメールを読み始めることすらできずに泣き出してしまった。さらには私のマネージャーも、私の身近な人が亡くなったのかと思っていたくらい取り乱していた」
直後にチーム全員と弁護士が集まって話し合いをしたものの、「私はひどく動揺していて、2週間くらい泣き続けた上に、もう練習する気にもなれなかったし、全てをテニスのせいだと感じていた」とシフィオンテク。最終的に陽性反応は時差ぼけと睡眠障害解消を目的に服用したメラトニン錠剤に禁止薬物「トリメタシジン」が混入したことが原因で、彼女自身に重大な過失はなかったため出場停止は約1カ月と比較的軽い処分で済んだ。
しかし処分が明けてからはツアーで苦戦し、昨年末には世界1位から陥落。この頃は自身の身の潔白を周りの誰にも信じてもらえず、「『もう全て終わった。これまで築き上げてきたものも全て消えてしまう』とまで考えていた」とシフィオンテクは赤裸々に明かす。それでもチームメンバーや友人、心理士らに支えられたことで徐々にメンタルが回復し、「少しでもいいから物事に意味を見出していこう」という活力が湧いてきたそうだ。
幾多の苦難を乗り越えた24歳の元女王は、テニスコートでも笑顔を取り戻した。今季は5月初めの「イタリア国際」(WTA1000)で3回戦敗退、直後の「全仏オープン」(四大大会)も準決勝で敗れて大会4連覇を逃すなどクレーシーズンまでは振るわなかったものの、これまで苦手としていた芝シーズンで完全復活。ウインブルドンでは1セットも落とさずに決勝へ勝ち上がると、最後はアマンダ・アニシモワ(アメリカ/現7位)を相手に6-0、6-0の完全勝利を達成し、見事聖地での初戴冠を果たした。
文●中村光佑
【画像】決勝でダブルベーグルの離れ業!ウィブルドン初優勝を果たしたイガ・シフィオンテクを厳選ショットで特集!
【関連記事】シフィオンテクのドーピング問題に終止符!WADAによる提訴は行なわれず「決着がつき、満足している」<SMASH>
【関連記事】「私の人生で最悪の出来事」女子テニス世界2位のシフィオンテクが禁止薬物誤飲で1カ月の出場停止処分<SMASH>
現在行なわれている女子テニスツアー「ナショナルバンク・オープン」(7月27日~8月7日/カナダ・モントリオール/WTA1000)で北米ハードコートシリーズ初戦を迎えるシフィオンテクは、開幕前に元男子世界王者のアンディ・ロディック氏(アメリカ/42歳)が司会を務めるテニス系ポッドキャスト『Served with Andy Roddick』に出演。その中でドーピング違反の通知を受けた時の心境をこう振り返った。
「本当に最悪の経験だった。ワルシャワ(ポーランドの首都)でのプロモーションイベントに参加した際、合間にメールを確認したらITIA(テニスの不正行為を監視する第三者機関)からメールが届いていたの。最初は、いつものリマインドメールだと思っていたけど、私はそのメールを読み始めることすらできずに泣き出してしまった。さらには私のマネージャーも、私の身近な人が亡くなったのかと思っていたくらい取り乱していた」
直後にチーム全員と弁護士が集まって話し合いをしたものの、「私はひどく動揺していて、2週間くらい泣き続けた上に、もう練習する気にもなれなかったし、全てをテニスのせいだと感じていた」とシフィオンテク。最終的に陽性反応は時差ぼけと睡眠障害解消を目的に服用したメラトニン錠剤に禁止薬物「トリメタシジン」が混入したことが原因で、彼女自身に重大な過失はなかったため出場停止は約1カ月と比較的軽い処分で済んだ。
しかし処分が明けてからはツアーで苦戦し、昨年末には世界1位から陥落。この頃は自身の身の潔白を周りの誰にも信じてもらえず、「『もう全て終わった。これまで築き上げてきたものも全て消えてしまう』とまで考えていた」とシフィオンテクは赤裸々に明かす。それでもチームメンバーや友人、心理士らに支えられたことで徐々にメンタルが回復し、「少しでもいいから物事に意味を見出していこう」という活力が湧いてきたそうだ。
幾多の苦難を乗り越えた24歳の元女王は、テニスコートでも笑顔を取り戻した。今季は5月初めの「イタリア国際」(WTA1000)で3回戦敗退、直後の「全仏オープン」(四大大会)も準決勝で敗れて大会4連覇を逃すなどクレーシーズンまでは振るわなかったものの、これまで苦手としていた芝シーズンで完全復活。ウインブルドンでは1セットも落とさずに決勝へ勝ち上がると、最後はアマンダ・アニシモワ(アメリカ/現7位)を相手に6-0、6-0の完全勝利を達成し、見事聖地での初戴冠を果たした。
文●中村光佑
【画像】決勝でダブルベーグルの離れ業!ウィブルドン初優勝を果たしたイガ・シフィオンテクを厳選ショットで特集!
【関連記事】シフィオンテクのドーピング問題に終止符!WADAによる提訴は行なわれず「決着がつき、満足している」<SMASH>
【関連記事】「私の人生で最悪の出来事」女子テニス世界2位のシフィオンテクが禁止薬物誤飲で1カ月の出場停止処分<SMASH>