男子テニスのATPツアーで活躍する22歳、ホルガー・ルネ（デンマーク／世界ランキング９位）が新たな一歩を踏み出す。元世界王者アンドレ・アガシ氏（アメリカ）の指導を“限定コラボ”で試すなど新体制を模索しているルネは、かつてノバク・ジョコビッチ（セルビア／元１位）やヤニック・シナー（イタリア／現１位）とタッグを組んだ名フィットネストレーナー、マルコ・パニチ氏を招聘した。新たなパートナーシップは「全米オープン」の前哨戦「シンシナティ・オープン」（８月７日～18日／アメリカ・シンシナティ）から正式にスタートする予定だ。

　すでに数日間のトライアルを実施したルネは、オランダメディア『Ziggo Sport』に、その手応えを語っている。

「マルコとモナコで数日間過ごしてみたけど、僕にとっては、とてもチャレンジングなフィットネストレーニングだった。単に強くなる、重い物を持ち上げるといったことではなかった。テニスって、そういうものじゃないからね」

　パニチ氏が行なうトレーニングの質について、こう続けた。

「もちろんある程度の筋力は必要だけど、それ以上に重要なのはコーディネーションやバイオメカニクス。彼は僕がこれまで試したことのない、新しい形で僕に挑戦させてくれた」
  　そのパニチ氏は、2017年から23年までジョコビッチの専属フィットネストレーナーとして活動し、多くのグランドスラム優勝を支えた人物。また、24年からシナーとも仕事を共にしており、今季「ウインブルドン」前にシナーのチームを離れていた。

「彼がノバクと何年も一緒に仕事をしてきたこと、そしてシナーとも少しの間関わった経験を見ると、フィットネスとテニスのつながりが本当によくわかるんだ。その点で彼は素晴らしい才能を持っていると思う。だから彼と一緒に仕事をするのが本当に楽しみだよ」

　今季のルネは、「全仏オープン」４回戦敗退後に「万全のフィジカルがなければ、自分の最大限の可能性にはたどり着けない」と口にしていた。今回の決断はまさにその問題に向き合うための一手だ。直近ではウインブルドンを初戦で敗退し、出場予定だった先週の「ムバダラ・シティDC・オープン」を腰のトラブルで欠場。現在はカナダ・トロントで開催中の「ナショナルバンク・オープン」（７月27日～８月７日）に第５シードとして出場中だ。

　全米オープン開幕まであと１カ月。四大大会で初のベスト４入りを狙う若き才能が、名トレーナーと共に躍進への足固めを進めている。

構成●スマッシュ編集部

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