男子テニスの世界ランク14位、フランシス・ティアフォー（アメリカ）のある行動が賞賛を集めている。現在開催中の「シンシナティ・オープン」（８月７日～18日／ATP1000）に出場しているティアフォーは、自身の初戦（２回戦）に米ルイビル大学の有望選手、ラッセル・ロッコを招待した。そして、選手ボックス席での観戦に加え、さらなるサプライズとして３万ドル（約443万円）の奨学金を彼に贈ったのだ。ATP公式サイトなどが伝えている。

　ティアフォーはUSTA（全米テニス協会）財団に「フランシス・ティアフォー基金」を設立し、金銭的に苦労している後進たちへの援助を続けている。ロッコはUSTA財団の育成ネットワーク「NJTL」内のコミュニティ組織で育ったが、ティアフォーがかつて腕を磨いたジュニアセンターも同じネットワークの支援を受けていた。

　そうした縁でロッコはシンシナティOPに招待されたのだが、当初彼は少年時代からの憧れであるティアフォーに会えるだけだと思っていた。それが、２年間で３万ドルという奨学金の小切手を突然ティアフォーから渡されたのである。「すごく興奮しています。本当に感謝です」と驚きを隠せないロッコ。
  「彼が私にこんなお金をくれるなんて、全く知りませんでした。フランシスは子どもの頃からずっと私のロールモデルだったので、彼から直接もらえるなんて信じられない気持ちです」。現在大学３年生のロッコは、これで卒業まで勉強と選手活動を継続できそうだという。

　ティアフォーは今回の奨学金提供について「移民の息子...私も同じ立場にいたことがあるから、どんな気持ちか、そして彼がここまで来るのにどれほど苦労してきたか、よくわかるよ」と心境を述べている。そして、ロッコに対してこうアドバイスを送った。

「チャンスが来たら両手でつかみ、自分の能力を最大限に生かさなければならない。でも結局のところ、僕がこんなことをしたのは、君という人間性があったからだ。君らしくあり続け、自分のモラルを貫き、偉大な存在を目指して努力し続けてくれ」

　ロッコはシンシナティ滞在中、ティアフォーに付き添い、練習を見学し、そして夜にはボックス席で試合を観戦した。ティアフォーはその２回戦でロベルト・カルバレスバエナ（スペイン／87位）に6-4、6-3で快勝し、自ら最高のお手本を示してみせた。

構成●スマッシュ編集部

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