今年最後のグランドスラム、全米オープンテニスの男女シングルス決勝が土曜日と日曜日に行なわれます。
1週目は、エースとミスの単調な試合もあるものですが、2週目は違います。試合に展開力が加わるため、自然と面白い内容になります。そして、決勝の残る選手は、実力に加えて調子の良い選手です。
ただし、決勝は雰囲気や緊張感が違う独特な舞台。準決勝は、「決勝に行きたい」という強い思いがプラスされるため、100%に近いパフォーマンスが出やすい状態にあります。決勝は勝っても負けても、2週間の戦いがこれで終わる状況です。調子の良い2人が残っているはずですが、意外と内容が薄くなってしまうケースもあります。
だからこそ、決勝は試合内容だけでなく、試合全体に興味を持って観戦する気持ちでいることをお勧めします。例えば、観戦に来ている人の服装や、ボールパーソン、審判にも目を向けてみるといいでしょう。観客の服装を他のグランドスラムと比較すると、大会の雰囲気をより感じ取れます。
ボールパーソンはどのグランドスラムでも俊敏に動きますが、特徴があります。アメリカではアメフトと野球が人気スポーツなだけにボールを上から投げており、ヨーロッパでは転がして渡しますね。審判もグランドスラム決勝をジャッジできるのは名誉なことで、どの試合のジャッジをした人なのかを覚えたりすると、観戦に深みが増すでしょう。
あとは、試合前に実況の方が色々なデータを教えてくれます。その中でも、今年に入ってからか直近の対戦成績は頭に入れておくといいでしょう。例えば、ランキングが低い選手の方が直近で勝っていると、試合でリードしていても腑に落ちますし、相性的に有利な何かがあると考えられます。ランキングだけに左右されない見方ができるようになります。
決勝は特別な舞台なので、選手はメンタルを整えることが必要です。特に初の決勝となると難しい状況に陥りがちです。ウインブルドンのアマンダ・アニシモアがそうでした。
決勝は0-6、0-6でしたが、取れそうで取れない長いゲームもありました。それに、準決勝でアリーナ・サバレンカに勝利した試合を見ていれば、実力は疑いようがありません。だからこそ、決勝だけで判断せずに、いつもと同じパフォーマンスを出すのは難しいんだと理解できるのです。
そういう思いで試合を見ると、たとえワンサイドゲームだとしても飽きることはありません。「どうやってメンタルを立て直そうとしているのか?」などを考えてみましょう。テニスは少しのことで流れが変わるので、そのタイミングを探しながら見るのもいいですよ。
私が常々言っているのは、良い時代には良いライバル関係が必要不可欠ということです。現在で言えば、ヤニック・シナーとカルロス・アルカラスですね。決勝がこの2人のカードになったら、面白くなるのは間違いありません。
何度も対戦があり、決勝の舞台でも戦っているため、最高の状態で臨むでしょう。ライバル関係の対戦において、決勝という舞台は試合内容を引き上げる要素となってくれるのです。見逃さずに試合を満喫してください。
文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン
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1週目は、エースとミスの単調な試合もあるものですが、2週目は違います。試合に展開力が加わるため、自然と面白い内容になります。そして、決勝の残る選手は、実力に加えて調子の良い選手です。
ただし、決勝は雰囲気や緊張感が違う独特な舞台。準決勝は、「決勝に行きたい」という強い思いがプラスされるため、100%に近いパフォーマンスが出やすい状態にあります。決勝は勝っても負けても、2週間の戦いがこれで終わる状況です。調子の良い2人が残っているはずですが、意外と内容が薄くなってしまうケースもあります。
だからこそ、決勝は試合内容だけでなく、試合全体に興味を持って観戦する気持ちでいることをお勧めします。例えば、観戦に来ている人の服装や、ボールパーソン、審判にも目を向けてみるといいでしょう。観客の服装を他のグランドスラムと比較すると、大会の雰囲気をより感じ取れます。
ボールパーソンはどのグランドスラムでも俊敏に動きますが、特徴があります。アメリカではアメフトと野球が人気スポーツなだけにボールを上から投げており、ヨーロッパでは転がして渡しますね。審判もグランドスラム決勝をジャッジできるのは名誉なことで、どの試合のジャッジをした人なのかを覚えたりすると、観戦に深みが増すでしょう。
あとは、試合前に実況の方が色々なデータを教えてくれます。その中でも、今年に入ってからか直近の対戦成績は頭に入れておくといいでしょう。例えば、ランキングが低い選手の方が直近で勝っていると、試合でリードしていても腑に落ちますし、相性的に有利な何かがあると考えられます。ランキングだけに左右されない見方ができるようになります。
決勝は特別な舞台なので、選手はメンタルを整えることが必要です。特に初の決勝となると難しい状況に陥りがちです。ウインブルドンのアマンダ・アニシモアがそうでした。
決勝は0-6、0-6でしたが、取れそうで取れない長いゲームもありました。それに、準決勝でアリーナ・サバレンカに勝利した試合を見ていれば、実力は疑いようがありません。だからこそ、決勝だけで判断せずに、いつもと同じパフォーマンスを出すのは難しいんだと理解できるのです。
そういう思いで試合を見ると、たとえワンサイドゲームだとしても飽きることはありません。「どうやってメンタルを立て直そうとしているのか?」などを考えてみましょう。テニスは少しのことで流れが変わるので、そのタイミングを探しながら見るのもいいですよ。
私が常々言っているのは、良い時代には良いライバル関係が必要不可欠ということです。現在で言えば、ヤニック・シナーとカルロス・アルカラスですね。決勝がこの2人のカードになったら、面白くなるのは間違いありません。
何度も対戦があり、決勝の舞台でも戦っているため、最高の状態で臨むでしょう。ライバル関係の対戦において、決勝という舞台は試合内容を引き上げる要素となってくれるのです。見逃さずに試合を満喫してください。
文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン
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