男子テニス団体戦「レーバー・カップ」（９月19日～21日／アメリカ・サンフランシスコ／ハードコート）は大会最終日の現地21日にシングルス３試合とダブルス１試合の計４試合を実施。うちシングルス２試合で欧州選抜チームに勝利した世界選抜チームが同大会２年ぶり３度目の優勝を飾った。

　2017年に始まったレーバー・カップは、最高峰の四大大会で20度の優勝を誇るテニス界の英雄ロジャー・フェデラー氏（スイス／元世界１位）が創設に携わり、現役時代に２度の年間グランドスラム（同一シーズンに全ての四大大会を制すこと）を達成した男子テニスの伝説的巨星ロッド・レーバー氏（オーストラリア／87歳）の名を冠した名誉ある団体戦だ。

　試合は各６名で構成された欧州選抜と世界選抜が３日にわたり対戦。シングルス９試合、ダブルス３試合の計12試合を行ない、１試合勝利するごとに初日は１ポイント、２日目は２ポイント、３日目は３ポイントが与えられ、先に13ポイントを獲得したチームの勝利となる。ちなみに過去の対戦成績は欧州選抜が５勝、世界選抜が２勝となっている。

　今大会は２日目を終えた時点で世界選抜が9-3と大きくリード。一矢報いたい欧州選抜は迎えた最終日、ダブルスでカルロス・アルカラス／キャスパー・ルード（スペイン／ノルウェー）がアレックス・ミケルセン／ライリー・オペルカ（共にアメリカ）を7-6(4)、6-1で下すと、シングルスでは世界１位のアルカラスが同21位のフランシスコ・セルンドロ（アルゼンチン）に6-1、6-2で完勝して追い上げを見せる。
  　それでも最後は世界選抜が反撃を振り切った。残りのシングルス２試合はアレックス・デミノー（オーストラリア／８位）がヤクブ・メンシク（チェコ／同17位）を6-3、6-4で、テイラー・フリッツ（アメリカ／同５位）がアレクサンダー・ズベレフ（ドイツ／同３位）を6-3、7-6(4)で破り、最終スコア15―９で勝利を収めた。

　今年から新たに世界選抜のキャプテンを務めている元１位のアンドレ・アガシ氏（アメリカ／55歳）は表彰式で「テニス人生で最も記憶に残る瞬間の一つ」と喜びつつ、次のように語った。

「みんながこの１週間を最も忘れられない時間にしてくれた。それは大きな意味を持つ勝利だ。僕はこれまでにもチーム戦を戦った経験はあるが、今回はまさにチームとして一つになれた。選手たちを本当に誇りに思う。揺るがない気持ちで、最後まで勝利を信じてプレーしてくれた」

　またエースとしてチームを牽引したフリッツはチームメイトの存在が自身の大きな支えになったとコメント。加えてアガシ氏の大会にかける思いに応えたいとの一心で試合に臨んでいたと振り返った。「ベンチで仲間たちが盛り上がっている様子や、レジェンドのアンドレが飛び上がって僕を応援してくれるところを見たら、もう奮い立たないはずがない。全力を尽くすしかなかった」

　この結果世界選抜の各メンバーには25万ドル（約3,700万円）の優勝賞金を贈呈。さらには世界ランキングに応じた出場料も支払われるとのことだ。

文●中村光佑

【動画】世界選抜エースのフリッツが優勝を決めた瞬間！

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