現在開催中の男子テニスツアー「中国オープン」(9月25日~10月1日/中国・北京/ハードコート/ATP500)のシングルスで2回戦進出を決めた世界ランキング9位のロレンツォ・ムゼッティ(イタリア)が、自身の試合中の発言が現地ファンへの侮辱と受け取られた件について、公式インスタグラム(@lore_musetti)で謝罪の意を表明した。
今大会に第4シードで出場している23歳のムゼッティは、現地26日の1回戦で世界36位のジオバンニ・ペチ・ペリカール(フランス)に7-6(3)、6-7(4)、6-4のフルセットで勝利したが、その試合中の言動が物議を醸していた。
海外テニス専門サイト『UBITENNIS』などによると、ムゼッティは第2セットのタイブレーク中、観客の1人が何度も咳をしていたことに苛立ち、喉を鳴らすような仕草をしながらイタリア語で「3秒ごとに咳をしている輩がいる」と発言。中国紙『澎湃新聞』は、ムゼッティが「クソ中国人」とも口にしたと報じ、『AFP通信』などを通じて情報が拡散されていた。
その時の映像がSNS上で出回ると、「人種差別的だ」「中国のファンを侮辱した」とムゼッティに対する批判が噴出。国営紙『環球時報』も「中国国内外のSNSで論争を引き起こした」と伝えていた。こうした状況を受けてムゼッティは27日に更新したインスタグラムで「心から謝りたい」と投稿し、次のように弁明した。
「私の発言は、試合中に繰り返し咳をしてプレーを妨害しようとしていた少数の個人に向けられたもので、決して中国の人々に対するものではありませんでした。第2セットのタイブレークという、緊張やストレスが押し寄せてきたところでの出来事でしたが、それを言い訳にはできません。自分の表現の仕方が間違っており、不適切でした。多くの中国のファンを傷つけてしまったことを深く後悔しています」
こうした中国における選手の“不適切発言”は今回が初めてではない。先日には女子国別対抗戦「ビリー・ジーン・キング・カップ・ファイナルズ」(中国・深セン)に出場したテイラー・タウンゼント(アメリカ/複2位)が、現地ホテルで提供された選手向けの食事を揶揄する動画をSNSで投稿。カエルやカメ、ナマコなどを使った料理を映しながら「こんなのを食べている人がいるなんて...」などと発言し、大バッシングを浴びた末に謝罪していた。
また昨年には「武漢オープン」(WTA1000)に出場したマグダ・リネッテ(ポーランド/現38位)が、北京から武漢へ移動する際にSNSで「ウイルスデータベースが更新された」と投稿。新型コロナウイルスの発生地とされる武漢で感染拡大以降初めて大会が開かれたこともあって中国国内で反発が広がり、試合中にはリネッテが観客から敵意を向けられる場面も見られた。
世界各地を転戦しながら戦い続けるプロテニス選手。SNSの急速な普及もあり、プレーだけでなくその言動にも細心の注意が求められる時代になっていることを、今回の一件は物語っている。
文●中村光佑
【画像】ムゼッティが自身のインスタグラムに投稿した中国のファンへの謝罪文
【関連記事】人種差別の被害者から加害者に!? 中国珍味を「クレイジーな料理」と酷評して大炎上したタウンゼント、即座に謝罪<SMASH>
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海外テニス専門サイト『UBITENNIS』などによると、ムゼッティは第2セットのタイブレーク中、観客の1人が何度も咳をしていたことに苛立ち、喉を鳴らすような仕草をしながらイタリア語で「3秒ごとに咳をしている輩がいる」と発言。中国紙『澎湃新聞』は、ムゼッティが「クソ中国人」とも口にしたと報じ、『AFP通信』などを通じて情報が拡散されていた。
その時の映像がSNS上で出回ると、「人種差別的だ」「中国のファンを侮辱した」とムゼッティに対する批判が噴出。国営紙『環球時報』も「中国国内外のSNSで論争を引き起こした」と伝えていた。こうした状況を受けてムゼッティは27日に更新したインスタグラムで「心から謝りたい」と投稿し、次のように弁明した。
「私の発言は、試合中に繰り返し咳をしてプレーを妨害しようとしていた少数の個人に向けられたもので、決して中国の人々に対するものではありませんでした。第2セットのタイブレークという、緊張やストレスが押し寄せてきたところでの出来事でしたが、それを言い訳にはできません。自分の表現の仕方が間違っており、不適切でした。多くの中国のファンを傷つけてしまったことを深く後悔しています」
こうした中国における選手の“不適切発言”は今回が初めてではない。先日には女子国別対抗戦「ビリー・ジーン・キング・カップ・ファイナルズ」(中国・深セン)に出場したテイラー・タウンゼント(アメリカ/複2位)が、現地ホテルで提供された選手向けの食事を揶揄する動画をSNSで投稿。カエルやカメ、ナマコなどを使った料理を映しながら「こんなのを食べている人がいるなんて...」などと発言し、大バッシングを浴びた末に謝罪していた。
また昨年には「武漢オープン」(WTA1000)に出場したマグダ・リネッテ(ポーランド/現38位)が、北京から武漢へ移動する際にSNSで「ウイルスデータベースが更新された」と投稿。新型コロナウイルスの発生地とされる武漢で感染拡大以降初めて大会が開かれたこともあって中国国内で反発が広がり、試合中にはリネッテが観客から敵意を向けられる場面も見られた。
世界各地を転戦しながら戦い続けるプロテニス選手。SNSの急速な普及もあり、プレーだけでなくその言動にも細心の注意が求められる時代になっていることを、今回の一件は物語っている。
文●中村光佑
【画像】ムゼッティが自身のインスタグラムに投稿した中国のファンへの謝罪文
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