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【伊達公子】出場義務大会数が減ったら、アジアシリーズはピンチに陥る!?<SMASH>

伊達公子

2025.11.14

「アジアシリーズは真っ先にスキップされそう」と言う伊達公子さん。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 テニス界では過密スケジュールが話題になっており、特にトップ選手が出場しなくてはいけない大会数が多い点に不満の声が挙がっています。これが改善されて、義務大会数を減らしたり、選手が選べるなど選手の自由度が上がると、アジアシリーズは真っ先にスキップされそうな予感がします。やはり、ツアー終盤は疲れていますから。

 中国の勢いがある間は、アジアシリーズもぞんざいには扱われないと思いますが、そこで日本に目を向けてくれる選手がいるかです。日本テニス協会は中国とマネーパワーで勝負することができません。だからと言って何もしなければ、これからアジアの中でもどんどん取り残されてしまいます。

 お金がないなら、お金を生み出す方法を考えるべきですし、選手が日本の大会を選んでくれるように、ホスピタリティに力を入れることも大事です。日本の漫画やアニメが好きな選手は多いので、そういう方面の体験ができるようにするのもプラスになるのではないでしょうか。
 
 仮にグレード1000の中から出場大会を選ぶようになっても、「マドリード・オープン」(スペイン)には多くの選手が出場すると思います。ホスピタリティが充実しているので、また行きたいと思うのです。

 例えば、わざわざ外食しなくても食事の満足度が得られます。白アスパラガスがあったりと、料理のクオリティも高かったですね。イタリアの大会では大きなモッツァレラチーズが出てきたこともありました。その国の、その時期の料理が食べられるのはうれしいものです。

 あとは韓国が成功した例ですが、テニス好きなアイドルを巻き込んで若者のテニス人気を高めたことで、会場が一杯になっていました。満員のスタジアムで試合ができるのは、選手にとって気持ちの良いものなので、テニス人気を上げることも必要でしょう。

 世界から、アジアから取り残されないように、日本テニス界も改革していかなくてはいけない状況になっていると感じます。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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