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回り込みフォアの鍵はラケットを振り切れる空間を作ること。清水映里が最大の武器の極意を明かす!【プロが明かすテニス上達法】<SMASH>

スマッシュ編集部

2025.11.09

回り込みフォアでは腕を振る空間を作るため、ボールとの距離を取るように清水映里プロは意識している(3コマ目)。そしてラケットを高くセットし、肩の高さでボールを叩く(4~6)。(C)THE DIGEST

 プロテニス選手は、高度なショットをいとも簡単に叩き込む。なぜあんなボールが打てるのか? その秘訣をプロ本人に明かしてもらうシリーズ。今回は早稲田大学出身のサウスポー、日本ランキング最高9位の清水映里選手の2回目。最大の武器である回り込みフォアのハードヒットについて教えてもらった。

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 私にとってフォアハンドはポイントを取る決め球であり、獲得につなげていくショットでもあります。左利きなので、相手のバックを突くフォアのクロスは「鉄板」ですが、回り込みの逆クロスも武器ですし、とにかくコートの4分の3くらいはフォアで支配しようという気持ちでいますね。最近バックハンドもいいですが、基本的にどんどん攻めて主導権を握るのはフォアです。

 特に回り込みフォアはすごく使います。デュースサイドに来たボールをフォアで回り込めるかどうか、常に計りながら待っている状態です。この写真もデュースサイドに入って叩いていますね。

 技術的なポイントを挙げると、回り込みの強打はテイクバックを大きく取るので、まずラケットを振り切れる空間を作ることを考えます。移動して軸足(左足)を決める時にボールとの距離を測り、打点と身体を少し離すようにするんです(写真3コマ目)。

 同時に右肩を入れて、打つコースを隠します。右肩を入れると、自然とラケットを振るスペースができるので、足と肩はセットで動かすようにしています。
 
 また、テイクバックではなるべく両肩の上下動を抑えて、水平に保つことが大切になります(3コマ目)。身体の軸を真っすぐにすることで、しっかりボディターンを使えるからです。その上で右足を踏み込み、体重を乗せて(4~5コマ目)、前に大きく振っていきます。

 腕の振り方はストレートと逆クロスで違いますが、どちらの場合でも、ラケットをボールの高さにセットして、できるだけ肩の高さで叩くように意識しています(4~6コマ目)。セットの状態から高い位置をキープして、ボールの軌道に合わせながら、打ちたい打点に向けてラケットをほぼ真っすぐに出していきます。

 この写真は多分、逆クロスに打っていますね。ラケットヘッドが少し遅れて出てきています(5コマ目)。ただ、その辺は細かく意識するのではなく、ストレートも逆クロスも「打ちたい方向に体重を乗せる」と私は考えています。

 そうすることで身体の角度や腕の出方は自ずと変わってきます。要は、ちゃんと体重を乗せられるように、フットワークを使ってボールと適切な距離を取るということです。

【プロフィール】清水映里/しみずえり
1998年5月28日、埼玉県生まれ。161cm、左利き。早稲田大学時代にインカレ、インカレ室内を制し、卒業後プロ転向。女子選手屈指のフォアハンドの強打を誇り、2020年にニュージーランドのITFツアーW15で初優勝、23年全日本選手権ではベスト4入り。24年にはWTAランキング最高296位、国内最高9位をマークする。Totsu所属。

構成●スマッシュ編集部
※『スマッシュ』2024年4月号より再編集

【連続写真】清水映里の回り込みフォアハンドによるハードヒット『30コマの超分解写真』

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