海外テニス

シナーとアルカラスの良好なライバル関係は「過剰に演出されている」ソックら元トップ選手らが私見<SMASH>

中村光佑

2025.11.23

シナー(左)とアルカラス(右)のライバル関係について、元世界8位ソック氏と元21位ジョンソン氏が私見を述べた。(C)Getty Images

 共に20代前半にして男子テニスツアーを席巻しているカルロス・アルカラス(スペイン/世界ランキング1位/22歳)とヤニック・シナー(イタリア/同2位/24歳)のライバル関係は、今季も大きな注目を集めた。四大大会3大会と先日のシーズン最終戦「Nitto ATP ファイナルズ」を含め計6度にわたってツアー決勝で対戦。中でも6月の全仏オープン決勝は5時間30分にも及ぶ大激戦となり、近年のテニス界でも屈指の名勝負が繰り広げられた。

 最近は両者のコート内外での関係性がファンやメディアの間で大きく取り上げられており、今年も例外ではなかった。しかし、男子元8位で2023年に現役を引退したジャック・ソック氏(アメリカ/33歳)はそれが「過剰に演出されている」と考えている。

 先日ポッドキャスト『Nothing Major』で「アルカラスとシナーの"良好な関係"は見せかけなのか?」と問われたソック氏は、「性格的には、アルカラスの方がオープンだと思う。一方のシナーは、どちらかと言えばプライベートや周囲の人に対して少し閉鎖的な印象がある」と前置きした上で、こう回答した。

「長年テニスファンは(ロジャー・)フェデラー(スイス/元1位)と(ラファエル・)ナダル(スペイン/元1位)の関係性を非常に好んでいた。彼らは良い友人でもあったが、今はもう引退している。それで人々は再びあのような関係性を築く選手を求めていて、アルカラスとシナーのそれを過剰に盛り上げようとしているのだろう」

「その証拠に、今は毎週のようにSNSで彼らが『練習コートですれ違った』とか『こんなやり取りがあった』などといった話題が取り上げられている。だがハイタッチしたり笑顔を見せたりしたからといって、それがイコール"本当に親しい友人"なのかと言われると、そうではないと思う。もちろん今後さらに関係が深まる可能性はあるが、今は現実以上に脚色されているように感じるし、二人が『非常に親しい』みたいなストーリーが過剰になっている」
 
 今回ソック氏と共演した同郷のスティーブ・ジョンソン氏(男子元21位/35歳/24年引退)も次のように語る。

「あの二人は10年後には"本当に親しい友人"になるだろう。でも今は、互いにテニス界での地位やキャリアを懸けて戦っている最中であり、それはフェデラーとナダルも同じだった。本当の友情というのは、年を重ね、互いのキャリアを振り返ったときに初めて芽生えるものだ。

 今は友人関係にあっても、『もっと敵対していた方がドラマチックなのに』とは思ってしまう。実際、フェデラーとナダルも昔はそんなに親しくなかったはずだ。10~15年後、二人がそれぞれ四大大会20勝を達成した暁には、フェデラーとナダルのような素晴らしい友情を築くだろう」

"リスペクト溢れる"ライバル関係か、火花を散らす"バチバチの"ライバル関係か、好みは人それぞれだ。いずれにせよ、アルカラスとシナーにはこれからも互いに切磋琢磨しながら、観る者を魅了するバトルを見せてほしい。

文●中村光佑

【動画】シナーがアルカラスを下したATPファイナルズ決勝ハイライト

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