テニス界で議論が続く大会スケジュールの長期化問題について、元世界ランキング3位のステファノス・チチパス(ギリシャ/現33位)が改めて一石を投じた。ポッドキャスト番組『What’s the Call』に出演した27歳は、出場数の拡大そのものには一定の理解を示しながらも、選手への対価が伴っていない現状に疑問を呈したのだ。
「最もフラストレーションを感じるのは、こういうことだ。僕たちに『もっと働け』と言うのは構わない。もっと働かせるのはいい。でも、それなら少なくとも賞金は増やしてほしい。以前、ATP会長と面談した際、彼は『One Vision』という構想を共有してくれた。彼がそれを提示し、説明してくれた時には、全てが理にかなっているように思えた。しかし、より多くプレーすることに対する賞金や選手への報酬には、大きな変化がなかった」
チチパスが指摘する通り、ATPは成長戦略「One Vision」のもと、2023年から改革を推し進めてきた。マスターズ1000大会の多くを「8日間・56ドロー」から「12日間・96ドロー」へと拡大し、開始から約2年で1830万ドル(約26億9400万円)の利益を生み出すなど、経済面では確かな成果を挙げている。数字だけ見れば成功と言えるが、現場の選手たちが感じる負担増との乖離は広がっているようだ。
チチパスは過密日程が健康面に及ぼす影響についても踏み込み、次のように警鐘を鳴らす。
「彼らがそれを行なっている理由は理解している。配信のため、より多くのチケットを売るため…、多くの理由があるのだろう。しかしそれは選手に大きな疲労とケガをもたらす。2025年がATPツアーで最も棄権が多かった年だったのは偶然ではないと思う。マスターズ1000を7日間に戻すべきだとは言わないが、通常より多く開催するにしても、少なくとも妥当な範囲内でのバランスを見つけなければならない。今のやり方は、あまりにも拡大路線に行き過ぎてしまった」
当の本人も、近年はまさにその肉体的な苦境と戦ってきた。今季は男女混合国別対抗戦「ユナイテッド・カップ」(オーストラリア・パース、シドニー)こそ好スタートを切ったものの、続く「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン/四大大会)と「ABNアムロ・オープン」(オランダ・ロッテルダム/ATP500)では早期敗退。背中の故障に悩まされてきた影響もあり、ランキングはトップ30圏外へと後退している。
ロッテルダムでの敗戦後には、「改善すべき点がたくさんあり、自分のテニスを完全に作り直す必要があるとも思っている。そのためにはハードな練習と時間が必要だ」と覚悟を口にした。それでも、「今は心身共に良い状態にあるし、正しい方向に進んでいる」と前向きな姿勢は崩していない。
ツアーの経済的成功と選手生活持続の可能性、その両立はできるのか。復活を期す元トップ3の訴えは、改革が進む男子ツアーの実情を映し出している。
構成●スマッシュ編集部
【画像】シューズがきしむ! 砂煙が上がる! チチパスらプロの超絶フットワーク集/Vol.2
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「最もフラストレーションを感じるのは、こういうことだ。僕たちに『もっと働け』と言うのは構わない。もっと働かせるのはいい。でも、それなら少なくとも賞金は増やしてほしい。以前、ATP会長と面談した際、彼は『One Vision』という構想を共有してくれた。彼がそれを提示し、説明してくれた時には、全てが理にかなっているように思えた。しかし、より多くプレーすることに対する賞金や選手への報酬には、大きな変化がなかった」
チチパスが指摘する通り、ATPは成長戦略「One Vision」のもと、2023年から改革を推し進めてきた。マスターズ1000大会の多くを「8日間・56ドロー」から「12日間・96ドロー」へと拡大し、開始から約2年で1830万ドル(約26億9400万円)の利益を生み出すなど、経済面では確かな成果を挙げている。数字だけ見れば成功と言えるが、現場の選手たちが感じる負担増との乖離は広がっているようだ。
チチパスは過密日程が健康面に及ぼす影響についても踏み込み、次のように警鐘を鳴らす。
「彼らがそれを行なっている理由は理解している。配信のため、より多くのチケットを売るため…、多くの理由があるのだろう。しかしそれは選手に大きな疲労とケガをもたらす。2025年がATPツアーで最も棄権が多かった年だったのは偶然ではないと思う。マスターズ1000を7日間に戻すべきだとは言わないが、通常より多く開催するにしても、少なくとも妥当な範囲内でのバランスを見つけなければならない。今のやり方は、あまりにも拡大路線に行き過ぎてしまった」
当の本人も、近年はまさにその肉体的な苦境と戦ってきた。今季は男女混合国別対抗戦「ユナイテッド・カップ」(オーストラリア・パース、シドニー)こそ好スタートを切ったものの、続く「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン/四大大会)と「ABNアムロ・オープン」(オランダ・ロッテルダム/ATP500)では早期敗退。背中の故障に悩まされてきた影響もあり、ランキングはトップ30圏外へと後退している。
ロッテルダムでの敗戦後には、「改善すべき点がたくさんあり、自分のテニスを完全に作り直す必要があるとも思っている。そのためにはハードな練習と時間が必要だ」と覚悟を口にした。それでも、「今は心身共に良い状態にあるし、正しい方向に進んでいる」と前向きな姿勢は崩していない。
ツアーの経済的成功と選手生活持続の可能性、その両立はできるのか。復活を期す元トップ3の訴えは、改革が進む男子ツアーの実情を映し出している。
構成●スマッシュ編集部
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