海外テニス

「有名な選手は圭となおみだけ。それを変えたい」西岡良仁のその想いは、着実に実現へと向かっている

酒井朋子

2020.02.28

昨年のシンシナティで憧れの錦織圭から初勝利を挙げた西岡良仁。(C)GettyImages

 男子テニスツアー「デルレイビーチ・オープン」(アメリカ・フロリダ)で準優勝を果たした西岡良仁(ミキハウス)は、自己最高位の48位にランキングを上げた。その活躍を受けて、ATPのサイトでは2019年10月27日にアップした記事を再掲載している。その内容を紹介しよう。

 10代の頃の西岡は、ラファエル・ナダルやフェルナンド・ベルダスコなど、左利きの筋肉隆々のスペイン人選手に憧れていたが、ある時、ニック・ボロテリーに「スペインではなく、チリに目を向けるべきだ」と助言されたという。

 ボロテリーに「あまり背が高くないし、力も強くないから、スピードとテクニックを使って、小柄な選手のようにプレーする必要がある」と言われ、同じ身長、体格、左利きの元ランキング1位のマルセロ・リオスをベースに試合をすることを提案された。そして、リオスの試合をYouTubeで見て研究し始めた。

「ポイントを取る方法をたくさん学びました。ネットに出て、ドロップショットを打つ。彼はやりたいことは何でもできました。僕はリオスを見始めてから、彼のようにプレーしたいと思うようになりました」
 
 2017年の3月に58位にまでランキングを上げた西岡だったが、その直後にヒザを負傷し、そのシーズンはツアーから離れることとなった。だが、怪我から復帰した2018年に調子を取り戻すと、9月に行なわれた「深センオープン」(中国・深セン、ATP250)で、初のツアータイトルを手にしたのだ。その準決勝でフルセットの末に破った相手は、憧れのベルダスコだった。

 そして、2019年8月には忘れられない一戦があった。ATPマスターズ1000・シンシナティ2回戦の錦織圭戦だ。この試合で錦織を下した西岡は、「自分に多くのスポットライトが当たることを願っています。日本のテニスで有名な選手は(錦織)圭と(大坂)なおみだけです。それを変えたいんです」とコメントした。

 今年のデルレイビーチでは、ジョーダン・トンプソン、スティーブ・ジョンソンと一緒にデルレイビーチオープン・カートに参加し、スーパーマリオのキャラクターに扮してカート競争をしたり、デルレイビーチ・オープンでの表彰式では「僕の名前を覚えてくれたかな。次からは『Yoshi』と呼んでください」とスピーチするなど、認知度アップに抜かりはない。

 170センチの小柄なファイターの存在感は、世界でも日毎に増してきている。

文●酒井朋子

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【動画】デルレイビーチ決勝 西岡対オペルカのハイライト