男子テニスツアーを統括するATP(男子プロテニス協会)が2028年シーズンから男子ダブルスの競技構造を大幅に見直す改革案を検討している問題を巡り、今度は同種目の伝説的ペア、ボブ・ブライアン氏とマイク・ブライアン氏(共にアメリカ/2020年引退)が反対の声を上げた。両氏は「若い選手たちの夢を奪う」と警鐘を鳴らし、ダブルスの発展には競技機会の拡大こそ必要だと訴えている。
改革案では、シングルスとダブルスの賞金配分の割合を「80対20」から「90対10」へ変更するほか、四大大会に次ぐマスターズ1000大会では、ダブルスのドロー数を16、それ以外の大会では8まで縮小し、ランキング制度も見直す方針と報じられている。なお、この案は四大大会には適用されない。
この構想に対しては、ダブルス世界ランキング1位に君臨するヘンリー・パッテン(イギリス)のコーチを務めるカルビン・ベットン氏(イギリス)が「極めて不快で、理解し難い」と強く反発。「改革によって利益を得るのはトップ70前後のシングルス選手だけになる。改革が進めば、ダブルス選手は20人程度しか残らなくなるだろう」と危機感を示し、場合によってはダブルス選手で結束して法的措置に踏み切る可能性も示唆していた。
そうした中、現役時代に四大大会16勝と五輪金メダルを含むツアー119勝を挙げ、昨年に国際テニス殿堂入りを果たしたダブルス元世界1位のブライアン兄弟も、先日の「ウインブルドン」(四大大会)で行なわれたレジェンドダブルスへの出場を前に『AP通信』などの取材に応じ、改革案を痛烈に批判した。
「もしこの案が可決されれば、ダブルスでプロを目指す若い選手や大学テニスの選手たちの夢は断たれ、生計を立てるための道も閉ざされてしまう。経済面を見れば、男子ツアーはこれまでで最も健全な状態にあるように見える。だからこそ、ダブルス選手の機会を減らすのではなく、むしろ増やすべきだ」
またブライアン兄弟は、ダブルスが長年にわたってプロテニスの発展に貢献し、シングルスとは異なる魅力で新たなファン層を引きつけてきたと主張。同種目にキャリアを捧げてきた選手たちの機会を削るのではなく、より効果的なプロモーションや魅力的な試合時間帯の設定、テレビ放送の拡充などを通じて発展させるべきだとの考えを示した。
なおATPは改革について、「ダブルスがツアーで果たす重要な役割を維持しながら、より持続可能な長期的モデルを構築することを目的に、ダブルスの競技内容やドロー数、賞金配分について検討している」と説明。しかしその一方で、ダブルス改革によってシングルスの序盤ラウンドにおける賞金を増額できる可能性にも言及しており、選手側からは「結局はシングルスを優先した改革ではないか」との見方が強まっている。
改革案を巡る議論は今後も続く見通しで、ATPとダブルス選手側の対立はさらに激しさを増しそうだ。
文●中村光佑
【動画】スペシャリストたちが繰り広げる迫力満点のダブルス好プレー集
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改革案では、シングルスとダブルスの賞金配分の割合を「80対20」から「90対10」へ変更するほか、四大大会に次ぐマスターズ1000大会では、ダブルスのドロー数を16、それ以外の大会では8まで縮小し、ランキング制度も見直す方針と報じられている。なお、この案は四大大会には適用されない。
この構想に対しては、ダブルス世界ランキング1位に君臨するヘンリー・パッテン(イギリス)のコーチを務めるカルビン・ベットン氏(イギリス)が「極めて不快で、理解し難い」と強く反発。「改革によって利益を得るのはトップ70前後のシングルス選手だけになる。改革が進めば、ダブルス選手は20人程度しか残らなくなるだろう」と危機感を示し、場合によってはダブルス選手で結束して法的措置に踏み切る可能性も示唆していた。
そうした中、現役時代に四大大会16勝と五輪金メダルを含むツアー119勝を挙げ、昨年に国際テニス殿堂入りを果たしたダブルス元世界1位のブライアン兄弟も、先日の「ウインブルドン」(四大大会)で行なわれたレジェンドダブルスへの出場を前に『AP通信』などの取材に応じ、改革案を痛烈に批判した。
「もしこの案が可決されれば、ダブルスでプロを目指す若い選手や大学テニスの選手たちの夢は断たれ、生計を立てるための道も閉ざされてしまう。経済面を見れば、男子ツアーはこれまでで最も健全な状態にあるように見える。だからこそ、ダブルス選手の機会を減らすのではなく、むしろ増やすべきだ」
またブライアン兄弟は、ダブルスが長年にわたってプロテニスの発展に貢献し、シングルスとは異なる魅力で新たなファン層を引きつけてきたと主張。同種目にキャリアを捧げてきた選手たちの機会を削るのではなく、より効果的なプロモーションや魅力的な試合時間帯の設定、テレビ放送の拡充などを通じて発展させるべきだとの考えを示した。
なおATPは改革について、「ダブルスがツアーで果たす重要な役割を維持しながら、より持続可能な長期的モデルを構築することを目的に、ダブルスの競技内容やドロー数、賞金配分について検討している」と説明。しかしその一方で、ダブルス改革によってシングルスの序盤ラウンドにおける賞金を増額できる可能性にも言及しており、選手側からは「結局はシングルスを優先した改革ではないか」との見方が強まっている。
改革案を巡る議論は今後も続く見通しで、ATPとダブルス選手側の対立はさらに激しさを増しそうだ。
文●中村光佑
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