女子テニスツアーを管轄するWTA(女子テニス協会)と、テニスの国際的統括団体であるワールドテニス(旧ITF)は現地7月16日、共同でツアーに参戦する選手へ向けられたオンライン上の誹謗中傷や脅迫に関する2025年シーズンの年次報告書を公表。AI(人工知能)を活用した監視システム『Threat Matrix(スレット・マトリックス)』の運用により、対策が一定の成果を上げていることが明らかとなった。
同システムは、データ分析会社「シグニファイ・グループ」が開発し、脅威評価を専門とするリスクマネジメント会社「テセウス・リスク・マネジメント」や、調査・セキュリティ会社「クエスト」の支援を受けて運用されている。
シーズンを通じてWTAおよびワールドテニス所属の選手や大会関係者ら1万人以上を対象とし、X(エックス)、Instagram(インスタグラム)、YouTube(ユーチューブ)、TikTok(ティックトック)、Facebook(フェイスブック)上の公開投稿をAIと人間のアナリストが57言語で分析。特に悪質な投稿については専門調査員が証拠を収集し、ツアーや大会の警備チームと連携して現実世界での被害防止にも取り組んでいる。
報告書によると、2025年には120万件を超える投稿・コメントを分析し、うち1万2000件以上を誹謗中傷と判定。さらに暴力的、性的、人種差別的な内容や脅迫を含む3726件を「悪質な誹謗中傷」に分類した。その結果、該当する投稿の66%が削除され、35アカウントを法執行機関へ通報。2024年に悪質な投稿を行なったアカウントの89%は、2025年には確認されなかったという。
さらに、XとInstagramで30件以上の誹謗中傷投稿を繰り返していた26のアカウントが削除され、これらだけで年間に検出された誹謗中傷全体の21%を占めていたことも判明。調査によって身元が完全または部分的に特定されたアカウントは68件を数え、前年の39件から大幅に増加した。
一方で、全体のわずか9%の常習的な加害アカウントが、「悪質な誹謗中傷」に分類された投稿の87%を占めていたことも明らかとなり、こうしたアカウントは暴力的、性的、家族を標的とした投稿を行なう割合も高かった。
また、スポーツベッティング(スポーツの試合を対象とした賭博行為)との関連も依然として深刻で、ギャンブルで負けた利用者による投稿は、2025年に確認された誹謗中傷全体の42%を記録し、悪質な誹謗中傷では59%を占めた。これを受け、WTAとワールドテニスは、より多くのスポーツベッティング事業者に対し、誹謗中傷対策への積極的な参加を呼びかけている。
なおWTAとワールドテニスは共同声明で、「選手とテニスファミリー全体の心身の健康と安全は最優先事項であり、『Threat Matrix』は選手を守るための重要な取り組みの一つです。今回示された結果は、これまでの対策が一定の効果を上げていることを示していますが、さらなる前進にはSNS企業、法執行機関、競技統括団体、そしてギャンブル業界が連携して誹謗中傷対策に取り組むことが不可欠です」とのコメントを発表。今後も関係各所との協力を強化していく姿勢を示した。
文●中村光佑
【動画】ギャンブル絡みで脅迫や誹謗中傷が生まれる仕組みを解説したアニメーション(英語)
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【関連記事】「心の底から“くたばれ”と言いたい」26歳で引退表明の女子選手が誹謗中傷や“テニス界の闇”を痛烈批判<SMASH>
同システムは、データ分析会社「シグニファイ・グループ」が開発し、脅威評価を専門とするリスクマネジメント会社「テセウス・リスク・マネジメント」や、調査・セキュリティ会社「クエスト」の支援を受けて運用されている。
シーズンを通じてWTAおよびワールドテニス所属の選手や大会関係者ら1万人以上を対象とし、X(エックス)、Instagram(インスタグラム)、YouTube(ユーチューブ)、TikTok(ティックトック)、Facebook(フェイスブック)上の公開投稿をAIと人間のアナリストが57言語で分析。特に悪質な投稿については専門調査員が証拠を収集し、ツアーや大会の警備チームと連携して現実世界での被害防止にも取り組んでいる。
報告書によると、2025年には120万件を超える投稿・コメントを分析し、うち1万2000件以上を誹謗中傷と判定。さらに暴力的、性的、人種差別的な内容や脅迫を含む3726件を「悪質な誹謗中傷」に分類した。その結果、該当する投稿の66%が削除され、35アカウントを法執行機関へ通報。2024年に悪質な投稿を行なったアカウントの89%は、2025年には確認されなかったという。
さらに、XとInstagramで30件以上の誹謗中傷投稿を繰り返していた26のアカウントが削除され、これらだけで年間に検出された誹謗中傷全体の21%を占めていたことも判明。調査によって身元が完全または部分的に特定されたアカウントは68件を数え、前年の39件から大幅に増加した。
一方で、全体のわずか9%の常習的な加害アカウントが、「悪質な誹謗中傷」に分類された投稿の87%を占めていたことも明らかとなり、こうしたアカウントは暴力的、性的、家族を標的とした投稿を行なう割合も高かった。
また、スポーツベッティング(スポーツの試合を対象とした賭博行為)との関連も依然として深刻で、ギャンブルで負けた利用者による投稿は、2025年に確認された誹謗中傷全体の42%を記録し、悪質な誹謗中傷では59%を占めた。これを受け、WTAとワールドテニスは、より多くのスポーツベッティング事業者に対し、誹謗中傷対策への積極的な参加を呼びかけている。
なおWTAとワールドテニスは共同声明で、「選手とテニスファミリー全体の心身の健康と安全は最優先事項であり、『Threat Matrix』は選手を守るための重要な取り組みの一つです。今回示された結果は、これまでの対策が一定の効果を上げていることを示していますが、さらなる前進にはSNS企業、法執行機関、競技統括団体、そしてギャンブル業界が連携して誹謗中傷対策に取り組むことが不可欠です」とのコメントを発表。今後も関係各所との協力を強化していく姿勢を示した。
文●中村光佑
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